秋播型早生小麦品種「イワイノダイチ」の高品質安定栽培法
- [要約]
- 早播〜晩播での「イワイノダイチ」の窒素施肥法としては、分げつ肥を施用する施肥法が適する。播種量は、早播では標準播種量である5kg/10aから3kg/10aに減らしても同等の収量が得られ、晩播では標準播種量から10kg/10aに増やすことで増収する。
- [キーワード]
- 秋播型早生小麦、栽培法、分げつ肥、播種量、イワイノダイチ
- [担当]
- 大分農技セ・水田利用部
[連絡先]電話0978-37-1141
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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大分県では、早播により発生する凍霜害を回避でき、5月中の収穫が可能である秋播型早生小麦品種「イワイノダイチ」を認定品種に採用しているが、本品種に適した栽培法は確立されていない。そこで、早播〜晩播における適正な播種量・施肥法について明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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窒素施肥法は早播(11/10〜20)、標準播(11/21〜30)、晩播(12/1〜10)ともに収量確保の点から、基肥5kg/10a、分げつ肥2kg/10a、穂肥2kg/10aが適し、倒伏等の問題はなく、外観品質も良好である(表1)。
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早播では、播種量を3kg/10aに減らしても5kg/10aと同等の収量が得られる(表1)。
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晩播では、播種量を10kg/10aに増やすことで5kg/10aよりも増収する(表1)。
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小麦粉品質は、分げつ肥施用によりタンパク質含有率が向上し、粉色は低下しない。(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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大分県平坦部の水稲後麦作に適する。
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「イワイノダイチ」は耐倒伏性の高い品種であるが、早播では稈長が伸び穂数が増加し、倒伏し易くなるため、踏圧、土入れは必ず実施する。
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「イワイノダイチ」は従来の品種に比べ、葉齢の進展が早く、分げつが多い品種であるので分げつ肥は5葉期に施用する(従来は4葉期)。
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[具体的データ]
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表1 生育、収量、品質調査結果

表2 小麦粉品質調査成績
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[その他]
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研究課題名:小麦の高秋播性品種を中心とした作期前進化技術の開発
予算区分 :ブランドニッポン[I]系
研究期間 :1999〜2003年度
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