大豆後作小麦(農林61号)における収量・品質安定化のための栽培法
- [要約]
- 大豆後作小麦で収量・品質を安定化するための播種量は、11月下旬播で4kg/10a、12月中旬播で6kg/10aが適当である。窒素施肥量は、基肥と分げつ肥(4葉期頃)の合計で11月下旬播が5kg/10a、12月中旬播で7kg/10aが適当である。穂肥は通常通り施用する。
- [キーワード]
- 大豆後、小麦、窒素施肥量、播種量
- [担当]
- 大分農技セ・水田利用部
[連絡先]電話0978-37-1141
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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農地の高度利用や輪作に伴い、これらと結びついた麦類の高品質安定生産技術の確立が重要となっているが、大豆後作小麦においては過剰施肥による倒伏等が見受けられ、普及センターから適性施肥法策定等の要望が出されていた。そこで課題化し、大豆後作小麦の高収量安定生産を目標に適正播種量、施肥体系を検討した。
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[成果の内容・特徴]
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大豆後作小麦は、水稲後に比べ土壌含水比が低いため耕耘による砕土が良好なことから、出芽率が高い(表1)。
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大豆後作小麦は、水稲後作小麦に比べて出芽率の高いことや土壌窒素供給量が多いことにより生育が旺盛となり収量は高くなるが、過繁茂となり倒伏しやすい(図1)。
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倒伏程度および収量からみた大豆後作小麦の安定栽培法は、播種量が11月下旬播で4kg/10a、12月中旬播は6kg/10aである。窒素施肥体系(基肥-分げつ肥-穂肥:kg/a)は11月下旬播が3-2-3と5-0-3、12月中旬播が5-2-3と7-0-3がよい(図2)。
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大豆後作小麦の子実のタンパク質含有率は、水稲後作小麦に比べ高い(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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普及対象は大分県北部・低標高地の小麦生産営農集団および生産者。
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品種は「農林61」号を供試した。収量45kg/a程度、倒伏程度2以下を目標とした。
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12月中旬播においても、倒伏防止のため踏圧、土入が必要であり、収量確保の面からも穂肥の施用は行う。
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[具体的データ]
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表1 播種時の土壌条件と推定出芽率

表2 子実のタンパク質含有率

図1 前作の違いによる収量・倒伏程度の差異

図2 大豆後における播種量及び施肥量の違いによる収量・倒伏程度の差異
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[その他]
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研究課題名:大豆後作麦の栽培技術の確立
予算区分 :県単
研究機関:2002年〜2003度
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