ビール大麦新品種「しゅんれい」の早播適応性
- [要約]
- ビール大麦新品種「しゅんれい」は早播適応性があり、これまでのビール大麦の播種適期(11月25日〜12月5日)より10日早めても、被害粒の発生は少なく、高品質安定生産が可能である。
- [キーワード]
- しゅんれい、側面裂皮粒、凸腹粒、剥皮粒、早播適応性、ビール大麦
- [担当]
- 福岡農総試・農産部・二条大麦育種指定試験地
[連絡先]電話092-924-2937
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
-
[背景・ねらい]
-
福岡県におけるビール大麦は、早播すると収量・外観品質が不安定になることから、その播種適期は11月25日〜12月5日である。しかし、この時期はしばしば降雨に遭遇することがあり、そのため播種作業の遅れにより作柄が安定しないことがある。また、早生水稲の普及により、田植え作業が早まり、麦の収穫作業と競合がおきることから、早播栽培技術の開発が望まれている。そこで、被害粒の発生が極めて少ない品種として育成された「しゅんれい」の早播に対する適応性を検討する。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
「しゅんれい」は「アサカゴールド」と比較して、いずれの播種期でも出穂期、成熟期とも1〜2日早く、播種期別の成熟期は標準播と比較して、極早播で7日、早播で5日早まる。また、倒伏程度は早播しても小さく、これまでより10日早播ができ、播種適期幅の拡大が可能である(表1)。
-
収量関連形質は早播において、整粒重は最も多く、容積重は標準播と同程度である。極早播では標準播と比較して、子実重は多いものの整粒歩合の低下により、整粒重は同程度で、容積重は小さくなる(表1)。
-
麦芽品質総合評点は早播するほど優れ、極早播ではアサカゴールドより優れる(表1)。
-
側面裂皮粒、凸腹粒、剥皮粒はいずれの播種期でも4カ年を通して安定して発生は少ない(図1)。
-
外観品質、検査等級はいずれの播種期でも他品種より優れ、検査等級は標準播、早播で優れるが、極早播ではやや劣る(図2)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
11月上旬の極早播は、整粒歩合が低くなり、整粒重および容積重が小さくなるので避ける。
-
[具体的データ]
-

表1 播種期別の生育特性と収量関連形質

図1 品種、播種期別の被害粒発生率

図2 品種、播種期別の外観品質および検査等級
-
[その他]
-
研究課題名:暖地向き醸造用二条大麦新品種の育成
予算区分 :指定試験
研究期間 :2000〜2003年度
目次へ戻る