除草剤低感受性スズメノテッポウの発生と各種除草剤の効果
- [要約]
- トリフルラリンおよびチフェンスルフロンメチル除草剤に対する低感受性スズメノテッポウの発生が福岡県下で確認された。この除草剤低感受性スズメノテッポウに対しては、ペンディメタリン・リニュロン・ベンチオカーブによる防除効果が高い。
- [キーワード]
- トリフルラリン、チフェンスルフロンメチル、除草剤低感受性、スズメノテッポウ
- [担当]
- 福岡農総試・農産部・栽培品質チーム
[連絡先]電話092-924-2937
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
- スズメノテッポウは福岡県内の多くの麦作付ほ場で優占雑草となっており、雑草害が大きいことから重要雑草となっている。スズメノテッポウの防除法としてはトリフルラリン(麦播種後処理)やチフェンスルフロンメチル(生育中期処理)などが使用されている。しかし、これらの除草剤を使用したほ場でスズメノテッポウの残草が確認されたため、残草したスズメノテッポウについて、各種除草剤に対する除草効果を確認する。また、スズメノテッポウのチフェンスルフロンメチルに対する簡易な感受性検定方法として発根法の適用を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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2004年4月に福岡県朝倉町でトリフルラリンおよびチフェンスルフロンメチル剤低感受性スズメノテッポウが確認された。このほ場では、チフェンスルフロンメチル水和剤のみで7年間連用されていた。
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残草が認められたほ場から採取したスズメノテッポウ種子はペンディメタリン・リニュロン・ベンチオカーブ乳剤の出芽前処理で出芽は認められないが、トリフルラリン乳剤の出芽前処理、チフェンスルフロンメチル水和剤のスズメノテッポウ1葉期処理および両剤の体系処理では生存率が極めて高い(表1)。
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水田雑草におけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性簡易検定法として用いられている発根法により、チフェンスルフロンメチル低感受性スズメノテッポウの検定が可能である(表2、図1)。また、低感受性であってもチフェンスルフロンメチルの0.75ppm処理では発根数が少なく、検定できない場合があるため、処理濃度は0.375ppmとする。
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[成果の活用面・留意点]
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福岡県普通作物雑草防除の手引きに登載し、除草剤低感受性スズメノテッポウが発生した場合の検定および防除対策の資料とする。
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発根法による検定は、出穂後のスズメノテッポウ個体を滅菌した後、根を切りそろえ、濃度が0.375ppmのチフェンスルフロンメチル水和剤溶液に浸し、日当たりのよい室内で14日後、発根長および発根数を比較した結果である。
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[具体的データ]
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表1 除草剤低感受性スズメノテッポウの各種除草剤に対する反応

表2 スズメノテッポウの発根法による感受性検定試験

図1 スズメノテッポウの発根試験
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[その他]
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研究課題名:麦用新開発除草剤の適用性検定試験
予算区分 :受託
研究期間 :2003年度
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