晩生の低アミロース水稲新品種候補「鹿児島22号」
- [要約]
- 水稲「鹿児島22号」は、“晩生の晩”の低アミロース系統である。暖地の普通期栽培用の低アミロース種としては、「柔小町」より耐倒伏性が強く、玄米が白濁しにくい。
- [キーワード]
- 水稲、鹿児島22号、低アミロース、晩生、普通期栽培
- [担当]
- 鹿児島県農試・作物部
[連絡先]電話099-268-3231
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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低アミロース米は一般に飯米の外観が優れ、粘りが強く、炊飯後の米飯の老化が遅くて加工適性も優れることから、近年、各地域で新品種が育成されている。九州地域の普通期栽培においても「柔小町」が平成11年に育成されているが、本県の普通期栽培の中生熟期に属し、登熟期間の温度が高くなるため白濁しやすい欠点がある。また、耐倒伏性もやや劣る。このため、晩生で耐倒伏性が優れた低アミロース品種が求められている。
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[成果の内容・特徴]
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「鹿児島22号」は、鹿児島県農業試験場において、晩生、多収、低アミロースを目標に、低アミロースの「彩」を母、晩生で良食味の「KG36(南海52号/コシヒカリ)」を父として、1997年に人工交配した組合せから育成した。本系統の特性は以下のとおりである。
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「はなさつま」と比較して出穂期で1日、成熟期で2日遅い“晩生の晩”に属する(表1)。
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「はなさつま」と比較して稈長は同程度で、穂長はやや短く、穂数はやや多い。草型は“偏穂数型”で、耐倒伏性は「はなさつま」並で「柔小町」より強く“強”である(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pia”と推定され、圃場抵抗性は葉いもちには“やや弱”、穂いもちには“中”である。白葉枯病には“やや強”である(表1)。
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収量性は「はなさつま」と同程度である。「柔小町」に比べて粒がやや大きい(表1)。
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登熟温度が高くなると低アミロース品種特有の白濁を生じる(図1)。「柔小町」に比べてアミロース含有率はやや高く、同じ登熟気温でも白濁は少ない傾向がある。
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「鹿児島22号」単独では粘りすぎともち臭により総合評価は劣るが、ブレンドによって米飯の外観・粘りが向上する(図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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鹿児島県の中山間地の普通期作へ約200haの普及が見込まれる。
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登熟温度が高くなると玄米の白濁程度が大きくなり、移植時期や地域間においても白濁程度が異なることがある。
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葉いもち抵抗性は不十分なので、適期防除に努める。
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[具体的データ]
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表1 「鹿児島22号」の特性一覧表(育成地)

図1 登熟温度と玄米白度の関係

図2 鹿児島22号のブレンドによる食味向上効果
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[その他]
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研究課題名:普通期水稲新品種育成試験
予算区分 :県単
研究期間 :1997〜2004年度
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