熊本県の高冷地における疎植栽培による水稲種子の省力安定生産
- [要約]
- 極早生種「コシヒカリ」では、栽植密度11.1株/m2及び13.3株/m2の疎植栽培で、中生種「森のくまさん」では、栽植密度13.3株/m2の疎植栽培で生産すると、収量を確保した良質種子ができる。また、10a当たりの育苗箱数も28%〜35%節減できる。
- [キーワード]
- イネ、種子、疎植栽培、低コスト
- [担当]
- 熊本農研・農産園芸研・作物研究室・矢部試験地
[連絡先]電話0967-72-0162
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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高冷地における水稲種子生産現場において播種から移植作業までの省力化を図るため、疎植栽培法が普及しつつあるが、疎植栽培でも良質な種子の安定生産ができるかどうか十分な検討がなされていない。そこで、極早生及び中生品種を用い、栽植密度の相違が生育、収量及び種子品質等に及ぼす影響について明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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- 慣行栽培(18.5株/m2)に比べて、「コシヒカリ」では、栽植密度11.1株/m2及び13.3株/m2で栽培すると、出穂期及び穂揃期は1日遅れる。また、耐倒伏性に優れ、収量は安定し、良質種子の生産ができる(表1、表2、表3)。
- 「森のくまさん」では、栽植密度11.1株/m2及び13.3株/m2で栽培すると、出穂期、穂揃期及び成熟期は1日遅れる。また、栽植密度11.1株/m2では、良質種子は生産できるが、収量がやや劣る。栽植密度13.3株/m2では、収量を確保した良質種子の生産ができる(表1、表2、表3)。
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10a当たりの育苗箱数は、28%〜35%節減することができる(表4)。
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[成果の活用面・留意点]
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高冷地の水稲種子生産現場における参考資料として活用できる。
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[具体的データ]
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表1 出穂・成熟・生育調査

表2 収量・収量構成要素・種子品質

表3 種子生産条件の適否判定(○:適、×:否)

表4 10a当たり使用育苗箱数(森のくまさん)
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[その他]
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研究課題名:水稲の疎植栽培による省力安定生産栽培技術
予算区分 :単県
研究期間 :2002〜2004年度
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