パン向き小麦品種「ニシノカオリ」のタンパク質含有率向上のための施肥法
- [要約]
- 「ニシノカオリ」は、出穂期10日前〜10日後に0.4Nkg/aの追肥を行うことで適正タンパク質含有率が確保され、収量もほぼ標準施肥並が確保できる。また早播しても、出穂期〜出穂期10日後の窒素追肥により標準播並の収量およびタンパク質含有率が確保される。
- [キーワード]
- パン用小麦、タンパク質含有率、ニシノカオリ
- [担当]
- 熊本農研セ・農産園芸研究所・作物研究室
[連絡先]電話096-248-6445
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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近年、国内産パン用小麦の需要が高まる中で、実需者からはパン用小麦としての必要なタンパク質含有率13%を確保することが求められている。熊本県はパン用小麦として「ニシノカオリ」を認定品種に採用したが、「ニシノカオリ」の慣行栽培におけるタンパク質含有率は11%程度である(地域差あり)。また「ニシノカオリ」は他の小麦品種と比べると、収量がやや少なく、成熟期がやや遅い。そこで、適正なタンパク質含有率の確保および収量向上のための施肥法を明らかにする。また成熟期早進化のために早播における施肥法と生育・収量・品質について明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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2月下旬の追肥を標準の2倍(0.4Nkg/a)に増施、または出穂期10日前に0.4Nkg/aを追肥すると、収量は標準施肥より増加する。出穂期または出穂期10日後に0.4Nkg/aを追肥すると標準施肥並の収量を確保できる(表1)。
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出穂期〜出穂期10日後に0.4kg/aを追肥すると適正なタンパク質含有率(13.0%以上)が確保される(表1)。
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早播により成熟期の早進化が可能であり、出穂期〜出穂期10日後の窒素追肥により標準播並の収量および適正なタンパク質含有率が確保される(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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県内黒ボク土地帯での「ニシノカオリ」栽培における収量・タンパク質含有率向上技術として活用できる。
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出穂前後の窒素追肥により検査等級(普通小麦としての)が低下することがある。
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出穂期〜10日後追肥の場合、散布した肥料が穂や葉にかかり、白く色抜けしたような肥料やけを生じることがあるが、収量・品質には直接影響はない。
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[具体的データ]
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表1 「ニシノカオリ」における施肥法と生育・収量・品質

表2 「ニシノカオリ」の早播における施肥法と生育・収量・品質
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[その他]
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研究課題名:麦類奨励品種決定調査
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2003年度
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