水稲の高温登熟条件下における食味評価指標形質
- [要約]
- 摂氏25度以上の高温登熟条件下における食味を評価する指標としては、テクスチャー特性値(H/-H)が有効である。
- [キーワード]
- 高温、食味、水稲、理化学的特性
- [担当]
- 福岡農総試・農産部・栽培品質チーム
[連絡先]電話092-924-2937
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
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近年、水稲の登熟期間中が高温になるケースが度々みられ、乳白米、心白米および充実不足等の発生による外観品質の低下を生じている。このことから、高温条件下においても、外観品質や食味が安定して優れる品種が望まれている。現在、高温耐性の優れる品種は、背白・基白粒発生程度等の外観品質により評価されているが、最も重要な品質である食味についての評価方法は確立していない。そこで、水稲の高温登熟条件下における食味評価指標形質を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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異なる登熟期間中の温度条件において、食味の優劣に対して最も安定した関係が認められる理化学的特性はテクスチャー特性値(H/-H(炊飯米の硬さ/粘り))であり、摂氏25度以上の高温登熟条件下において食味を評価するための指標として有効である(表1、図1)。
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多種多様な品種および栽培条件が混在する場合、タンパク質含有率は食味に対する寄与率は低く、食味の優劣を客観的に評価できない(表1、図2)。
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アミロース含有率は摂氏25度以上の高温登熟条件下では、食味に対する寄与率は低く、食味の優劣を客観的に評価することはできない(表1、図3)。
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[成果の活用面・留意点]
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高温条件下において、食味が安定して優れる水稲良食味品種育成のための育種選抜技術の基礎資料となる。
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高温登熟による食味低下の要因解析をする上での指標となる。
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[具体的データ]
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表1 登熟期間中の温度条件別における食味に対する理化学的特性の標準偏回帰係数

図1 テクスチャー特性値と食味との関係

図2 タンパク質含有率と食味との関係

図3 アミロース含有率と食味との関係
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[その他]
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研究課題名:高温条件下における品質評価技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2003年度
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