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酒米品種の酒造適性からみた玄米品質と理化学的特性


[要約]
酒米品種の選抜において、酒造適性として重要な吸水性は玄米千粒重、心白発現率、心白率および最高粘度を、消化性はアミロース含有率を調査することによって、選抜初期段階で簡易に評価できる。

[キーワード]
酒米、酒造適性、吸水性、消化性

[担当]
福岡農総試・農産部・水稲育種チーム

[連絡先]電話092-924-2937	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
酒米品種を育成するに当たっての酒造適性の分析には多量の試料、時間、労力を要するため、育成の後代系統でこれを評価するのが一般的である。このため、酒米育種を迅速かつ効率的に進める上では、初期系統段階で酒造適性を簡易に評価することが不可欠である。そこで、酒米品種の酒造適性と玄米品質、理化学的特性の関係について検討し、酒米品種の選抜を行う場合の効率的な酒造適性の評価方法を確立するために、酒造適性の理化学的特性からみた簡易な指標形質を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 玄米千粒重が大きい品種、心白発現率および心白率が高い品種は、酒造適性として重要な浸漬20分後の吸水率および浸漬120分後と20分後との吸水率比が高く、酒造適性は優れる(表1)。

  2. 最高粘度が低い品種は、浸漬20分後の吸水率および浸漬120分後と20分後との吸水率比が高く、吸水性が優れる(表1)。

  3. アミロース含有率が低い品種は、酒造適性として重要な消化性(Brix)が優れる(表1図1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 酒米系統の選抜初期段階での簡易かつ高精度な酒造適性の評価が可能となり、酒米育種の効率化に寄与できる。

  2. 酒米品種・系統における酒造適性の評価方法を確立するための知見として活用する。

  3. 本成果は、酒造用好適米を育種母本とした後代系統に適用する。

[具体的データ]

表1 酒造適性と玄米品質、理化学的特性との相関係数(2002年、2003年込み)


図1 アミロース含有率と消化性(Brix)との関係

[その他]
研究課題名:新たな食味・健康志向等、多様な需要に応じた品種の育成
予算区分 :受託試験(ふくおかIST)
研究期間 :2002〜2003年度


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