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小型脱穀機を使ったビール大麦における剥皮粒検定法


[要約]
試験用小型脱穀機を用い、扱き胴回転数1000rpm、脱穀時間5秒を1回として3〜4回と脱穀回数を変えることで2回の脱穀では判別できない剥皮粒耐性品種の選抜が可能である。また、穀皮の貼付きの良い品種では剥皮粒の発生が少ない。

[キーワード]
ビール大麦、剥皮粒、検定法、穀皮形態、脱穀回数

[担当]
福岡農総試・農産部・二条大麦育種指定試験地

[連絡先]電話092-924-2937	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
ビール大麦の外観品質や検査等級を低下させる要因として、側面裂皮粒、凸腹粒および剥皮粒等の被害粒の発生がある。側面裂皮粒と凸腹粒については発生要因と選抜法を明らかにし、抵抗性品種を育成した。しかし、剥皮粒では常法となる検定法はなく、また穀皮の貼付きやしわの多少等その形態的違いが剥皮粒発生に及ぼす影響は不明である。そこで、剥皮粒検定法を開発し、穀皮形態の違いと剥皮粒発生との関係を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 1個体のビール大麦と試験用小型脱穀機(白川農機具製作所製R7型)を用い、扱き胴回転数1000rpm、脱穀時間5秒を1回とし、脱穀回数2回、3回、4回と増やすにつれて、品種の剥皮粒発生程度が変化し、発生程度極微の品種数が減少し、少、中、多、甚が増加する(図1)。

  2. 脱穀回数を変えると、品種の剥皮粒発生程度は、回数に関係なく剥皮の発生が安定して少ないもの(aタイプ)、回数が増えるにしたがって剥皮の増加するもの(bタイプ)および回数が少ない段階から剥皮の多いもの(cタイプ)の3つに分類でき(図2)、aタイプを選抜することにより剥皮粒抵抗性系統の育成が可能である。

  3. 穀皮の貼付きの良い品種では、剥皮粒の発生が少ない傾向にある(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 耐性系統の選抜にあたっては穀皮の貼付きで1次選抜を行い、さらに4回脱穀で剥皮程度を検定することが効果的である。

  2. 側面裂皮粒および凸腹粒の検定法とあわせて、剥皮粒の検定法を活用することで、これら3つの被害粒に耐性のある品種を育成できる。

[具体的データ]

図1 脱穀回数の違いによる剥皮粒発生程度の変化


図2 脱穀回数の違いによる剥皮粒発生パターン


図3 剥皮の貼付きと剥皮粒発生程度との関係

[その他]
研究課題名:外観品質の優れるビール醸造用高能力品種の開発
予算区分 :ブラニチ1系
研究期間 :2003〜2004年度


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