太陽熱土壌消毒による秋作ジャガイモのそうか病抑制
- [要約]
- 秋作ジャガイモにおいて、梅雨明け後に畦立てマルチャーで作畦・被覆(透明ポリエチレンフィルム)し、約1ヶ月間、太陽熱土壌消毒を実施することにより、クロルピクリンと同程度のそうか病抑制ができ、コストはクロルピクリンの4割である。
- [キーワード]
- ジャガイモ、そうか病、太陽熱土壌消毒
- [担当]
- 佐賀県上場営農センター・畑作・経営研究担当
[連絡先]電話0955-82-1930
[区分]九州沖縄農業・畑作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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そうか病汚染圃場ではクロルピクリンに替わる安全で低コストな防除法の開発が求められている。秋作ジャガイモにおいて、梅雨明け後の太陽熱を利用した土壌消毒法によるそうか病の耕種的防除法を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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夏期の梅雨明け〜定植前までの約1ヶ月間、透明ポリエチレンフィルムを用いて畦立てマルチャーで作畦・被覆することにより、そうか病菌抑制に必要な摂氏40度以上の地温が約150時間確保できる(表1)。
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本処理直後(定植前)の土壌中の放線菌数は、無処理に比べて低下する。但し、収穫時には菌密度が回復し、差がなくなる(表2)。
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本土壌消毒は無処理に比べてそうか病の発病度・発病茎率とも低く、クロルピクリン土壌消毒と同程度の効果が得られる。また、追肥時に培土処理をしても本病の発生はクロルピクリン土壌消毒と差がない(表3)。
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本土壌消毒による商品収量はクロルピクリン土壌消毒と同程度である(表4)。
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本土壌消毒の10a当たり経費は、クロルピクリン土壌消毒の4割である(表5)。
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[成果の活用面・留意点]
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秋作ジャガイモ+タマネギ体系に利用できる。
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夏季の天候不順により十分な地温の確保ができない年や高冷地のため地温の上昇が見込めない地域での防除効果は不明であるため、他の手法を活用する。
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種芋はチオファネートメチル・ストレプトマイシン40倍液を瞬間浸漬消毒する。
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元肥は処理前に施用し、ポリエチレンフィルムは植付前に除去する。
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[具体的データ]
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表1 太陽熱土壌消毒期間中の地温

表2 土壌消毒別放線菌数の変化(個/乾土1g)

表3 土壌消毒処理ジャガイモどうか病に及ぼす影響(2000〜2003年産)

表4 土壌消毒別秋作ジャガイモの商品収量

表5 太陽熱土壌消毒の経済性
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[その他]
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研究課題名:九州・沖縄における地域特産畑作物産地活性化のための新しい持続的輪作体系化技術の開発
予算区分 :助成試験(新技術実用化)
研究期間 :1999〜2003年度
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