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バレイショ栽培における線虫対抗植物のネコブセンチュウ密度抑制効果


[要約]
バレイショー線虫対抗植物体系で、クロタラリアとギニアグラスを組み合わせで、ネコブセンチュウの密度抑制効果が高く、安定している。ラッカセイでは第3作目のバレイショ栽培後に著しく線虫が発生するため、線虫対抗植物としての効果は低い。

[キーワード]
線虫対抗植物、バレイショ、サツマイモネコブセンチュウ、クロタラリア、ギニアグラス、ラッカセイ、ジャガイモ

[担当]
鹿児島県農業試験場・大隅支場・営農研究室

[連絡先]電話番号0994-62-2001	
[区分]九州沖縄農業・畑作	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
線虫対抗植物と早掘バレイショとの輪作体系において、環境保全型農業推進の観点から減農薬栽培が求められており、線虫対抗植物の線虫密度抑制効果と跡作への影響等について調査し、耕種的線虫防除技術の確立に資する。

[成果の内容・特徴]
  1. 密度の経年変化は、バレイショーカンショ体系では、バレイショ栽培1作目からネコブセンチュウの発生が認められ、第2作目には著しい線虫増加が認められる。線虫対抗植物栽培区では、クロタラリア、ギニアグラスでの発生は非常に少なく、安定して線虫密度抑制効果が高い。しかし、ラッカセイ栽培区は2作目で若干の発生があり、3作目では著しい増加傾向が認められる(図1)。

  2. 線虫の種類は、バレイショとカンショの組み合わせでは、主にサツマイモネコブセンチュウで、そのほかにもニセフクロセンチュウ、ラセンセンチュウが認められる。ラッカセイではネグサレセンチュウの発生は認められなかったが、3作目で南九州地域には極少ないキタネコブセンチュウが確認された(図1表1)。

  3. カンショ栽培跡のバレイショでは初年目からサツマイモネコブセンチュウによる塊茎被害が認められ、2作目以降も前年を上回る被害状況でほとんど商品価値は無い。線虫対抗植物栽培跡の被害塊茎は、ギニアグラスでは発生を認めなかったが、クロタラリア、ラッカセイ栽培後には若干の被害塊茎が確認された。ラッカセイ栽培跡で発生したキタネコブセンチュウの被害塊茎はサツマイモネコブセンチュウと同様の被害様相である(図1写真1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 適応地域は、暖地春作バレイショ栽培地域で春作型である。

  2. 青果用バレイショに限らず、加工用バレイショにも適用可能である。

  3. 対象輪作体系は早掘バレイショ(2〜5月)+線虫対抗植物(6〜10月)クロタラリア、ラッカセイ、ギニアグラスである。

  4. 各作物の品種は、バレイショ:ニシユタカ、カンショ:シロユタカ、クロタラリア:C.spectabillis、ラッカセイ:郷の香、ギニアグラス:ナツカゼである。

  5. 第2、3作目の線虫対抗作物栽培後の線虫密度がカンショ跡でも少ないが、これは土壌採種時期が秋期で低温のため線虫活性が少ないためと推察される。

[具体的データ]

図1 輪作体系によるネコブセンチュウ密度の推移


表1 線虫対抗作物栽培後のセンチュウ種類調査


表2 センチュウ被害いも発生率


写真1 サツマイモネコブセンチュウ被害塊茎

[その他]
研究課題名:九州沖縄における地域特産畑作物の産地活性化のための新しい持続的輪間作体系化技術の開発
予算区分 :助成試験(新技術開発)
研究期間 :2000〜2003年度


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