苗箱施肥によるサトウキビ側枝苗の生長促進と増収効果
- [要約]
- サトウキビ側枝苗の育苗時、培地中に苗箱施肥(緩効性肥料)を行う。春植栽培において移植後、初期生育から茎伸長が良く、分げつも多くなる。収量もNiF8とNi15の両方で増収する。
- [キーワード]
- 苗箱施肥、サトウキビ、側枝苗、増収
- [担当]
- 沖縄農試・宮古支場・作物研究室
[連絡先]電話0980-72-3148
[区分]九州沖縄農業・畑作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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側枝苗は欠株が少ないことや分げつが多いことから、増収効果が期待される技術である。しかし、移植後の初期生育は緩慢であるため、増収効果がみられない。そこで、育苗用の培地に緩効性窒素肥料を加えて育苗した後、移植後の基肥を減肥して全窒素量は変えずに、初期生育伸長性および分げつを促進させ、単収を向上させる技術を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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162穴のセルトレイを用い、苗箱施肥区は培地(土と堆肥を1:1で混合)にシグモイド溶出型(溶出期間120日)の緩効性窒素肥料(緩効率100%)を基肥の1/6程度(約200g)混合し、約1ヶ月間育苗する。栽植密度は2000本/10aで移植する。なお、育苗培地中の施肥窒素量は基肥で減肥する。
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育苗時および移植後も苗箱施肥区は特に肥料焼けもなく、慣行育苗区と同程度の高い活着率である(表1)。
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育苗時の葉色SPAD値は、苗箱施肥区が慣行育苗区に比べ、NiF8とNi15の両品種とも高い(表1)。
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両品種とも苗箱施肥区は分げつ時期が早く、生育時の茎数が多い(図1)。
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仮茎長も、両品種とも苗箱施肥区はやや長い(図2)。
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両品種とも苗箱施肥区は茎長が長く、茎数も多く、収量は約20〜30%増加する(表2)。
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増収しても蔗汁品質には大きな差はない(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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側枝苗育苗法として活用できる。
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[具体的データ]
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表1 活着率および育苗時のSPAD値

図1 茎数推移

図2 仮茎長の推移

表2 収量・品質調査
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[その他]
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研究課題名:サトウキビ側枝苗栽培技術の確立
予算区分 :事業
研究期間 :2000〜2004年度
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