サツマイモ焼酎廃液由来濃縮液の畑雑草抑制効果
- [要約]
- サツマイモ焼酎廃液由来濃縮液の800ml/m2土壌表面散布は、トウモロコシの出芽率を低下させることはなく、畑雑草種子(メヒシバ、ホソアオゲイトウ)の出芽が遅れる。夏作トウモロコシ圃場において抑草効果がある。
- [キーワード]
- 焼酎廃液、畑雑草、抑草効果、トウモロコシ、サツマイモ
- [担当]
- 九州沖縄農研・畑作研究部・生産管理研究室
[連絡先]電話0986-24-4276
[区分]九州沖縄農業・畑作、共通基盤・雑草
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
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サツマイモ焼酎製造過程で排出される焼酎廃液(焼酎粕)は海洋への投棄や圃場への還元が困難となり、その処理が問題となっている。サツマイモ焼酎は醸造期間が限られており、焼酎廃液は水分含量が高く腐敗しやすいため利活用が困難である。そこで利用期間を拡大するために、焼酎廃液を資材化し常温で長期保存が可能である焼酎廃液由来濃縮液(以下、濃縮液)を試作した。濃縮液の有効活用のため、畑雑草に対する抑制効果を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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濃縮液は焼酎廃液を固形分と液分に分離し、液分を10倍濃縮して作られる。この濃縮液はpH4.0の黒褐色の液体で落下菌の混入を防ぐことで常温で100日以上の長期保存が可能である(データ略)。
- 濃縮液を800ml/m2散布するとイネ科雑草のメヒシバ、広葉雑草のホソアオゲイトウの出芽が遅れ28日後の生存個体数も無処理に比べ少なくなる(図1)。
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濃縮液はトウモロコシの出芽を数日遅延させるが、出芽率は変わらず、トウモロコシの出芽に対する影響は小さい(図2)。
- 圃場において夏作トウモロコシ播種後、濃縮液を800ml/m2散布すると、播種後27日までのトウモロコシの草丈に差は見られない(図3)。一方、播種後約1ヶ月の雑草数、雑草乾物重は無除草区に比べ広葉雑草が減少する。よりも減少する。(図4)。
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[成果の活用面・留意点]
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濃縮液は、窒素、リン酸、カリウムがそれぞれ1.16、0.74、2.15%含まれるので、栽培時の施肥量を考慮する必要がある。
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濃縮液は試験的に作られたもので、除草剤登録されたものではなく、試験目的以外では使えない。
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[具体的データ]
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図1 濃縮液散布がメヒシバ、ホソアオゲイトウの出芽に与える影響

図2 濃縮液散布がトウモロコシの出芽に与える影響

図3 トウモロコシの草丈の推移

図4 濃縮液散布が播種後約1ヶ月の雑草数・雑草乾物重に与える影響
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[その他]
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研究課題名:焼酎廃液の施用が植物の生長に与える影響の解明
課題ID:07-03-02-01-13-04
予算区分 :バイオリサイクル
研究期間 :2002〜2004年度
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