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蒸気乾燥トウフ粕の給与は乳用種去勢肥育牛の枝肉性状を改善する


[要約]
蒸気乾燥トウフ粕をTMRに混合し、肥育全期間を通して乳用種去勢肥育牛に給与する場合、混合割合を乾物比10〜13%とすることにより、無給与の場合と同等の発育成績が得られ、同時に肉色の改善と高度不飽和脂肪酸割合の増加が図られる。

[キーワード]
肉用牛、蒸気乾燥トウフ粕、肉色、高度不飽和脂肪酸

[担当]
福岡農総試・家畜部・肉用牛チーム

[連絡先]電話092-925-5232	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
トウフ製造時に発生する蒸気熱を利用したトウフ粕の新しい乾燥処理法が、福岡県内の企業で開発され、乾燥トウフ粕の幅広い利用が可能となった。この蒸気乾燥トウフ粕の牛に対する飼料特性を調査した結果、その飼料成分値の変動は少なく、乾物および粗蛋白質のルーメンバイパス率が高い飼料であることが明らかとなった。しかし、肥育牛に対する蒸気乾燥トウフ粕の適正な給与量、給与効果については明確でない。そこで今回、良質肉生産に適した蒸気乾燥トウフ粕の給与技術を確立するために、肥育全期間を通した乳用種去勢肥育牛への給与割合の違いが発育成績、肉質に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 乳用種去勢肥育牛用飼料(TMR)に乾物中10〜13%の蒸気乾燥トウフ粕を混合して給与した場合、発育成績は無給与の場合と同等であるが、20〜25%まで増給すると乾物摂取量および発育成績が劣る(表1表2)。

  2. 蒸気乾燥トウフ粕を給与した肥育牛における枝肉成績(ロース芯面積、脂肪交雑等級、肉締等級等)は、無給与の場合と同等である(表3)。

  3. 蒸気乾燥トウフ粕を給与することによりロース芯の明度(L*)、赤色度(a*)および黄色度(b*)は増加し、明るく鮮やかな肉色となる。牛肉色基準値(BCSNO.)は無給与の場合と比較して優れ、枝肉単価が向上する傾向がある(表3表4)。

  4. 乳用種去勢肥育牛に対して蒸気乾燥トウフ粕を給与することにより、その給与量に応じて牛体脂肪(胸最長筋・皮下脂肪)中の高度不飽和脂肪酸(リノール酸、リノレン酸、共役リノール酸)割合が増加する(表4)。

[成果の活用面・留意点]
乳用種去勢肥育牛に対して蒸気乾燥トウフ粕を給与する場合の参考資料として活用できる。

[具体的データ]

表1 給与飼料中の蒸気乾燥トウフ粕混合割合および栄養水準(乾物%)


表2 発育成績


表3 枝肉成績


表4 枝肉の主要脂肪酸組成および色調

[その他]
研究課題名:乳用種肥育牛における蒸気乾燥トウフ粕の給与技術
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2003年度


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