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交雑種(黒毛和種雄×ホルスタイン種雌)肥育における父系統に適した飼養管理


[要約]
交雑種肥育は父系統の影響が大きく、糸桜系は但馬系より増体が多く枝肉重量が優れる。また、但馬系は糸桜系より肥育中期の血中ビタミンA量の低下が遅いことから、肥育中期を2ヶ月程度長くし血中ビタミンA量を適正に制御することで脂肪交雑が向上する。

[キーワード]
交雑種、ビタミンA、肥育、父系統

[担当]
長崎畜試・大家畜科

[連絡先]電話0957-68-1135	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
県内の酪農家では交雑種子牛生産が増加しており、乳用種肥育から交雑種肥育に切り替える肥育経営が増加している。しかし、交雑種肥育では肉用種である父系統の影響から個体間のばらつきが大きいことが考えられ、良質肉を安定生産できる飼養管理技術が求められている。そこで、交雑種肥育の父系統における増体量、脂肪交雑、血中ビタミンA濃度の推移およびその飼養管理法を確立する。

[成果の内容・特徴]
試験1(平成12〜13年度):父系統の異なる交雑種去勢牛但馬系同一種雄牛産子6頭、糸桜系2種雄牛産子6頭計12頭(ただし、出荷直前に後肢の事故により2頭廃用)を同一肥育体系で比較した(表1)。

試験2(平成14〜15年度):父系統が但馬系同一種雄牛の交雑種去勢牛8頭を用い、試験1より肥育中期を2ヶ月延長した前期短縮区(肥育中期:10〜19ヶ月齢)4頭、後期短縮区(肥育中期:12〜21ヶ月齢)4頭を比較した(表1)。

  1. 交雑種肥育は父系統の影響が大きく、糸桜系は但馬系よりTDN摂取量および増体量が多く、枝肉重量およびバラの厚さも優れる(図1表2表3)。

  2. 但馬系は糸桜系よりビタミンA製剤無添加の飼料を給与する中期の血中ビタミンA量の低下が遅い(図1)。

  3. 肥育前期を短縮した体系は、肥育後期を短縮した体系よりTDN摂取量は多い傾向にあるが、増体量に差は認められない(図2表2)。

  4. 但馬系は糸桜系に比べビタミンA製剤無添加の飼料を給与する中期を2ヶ月程度長くし、血中ビタミンA量を適正に制御することで脂肪交雑が向上する(図2表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 交雑種肥育における父系統別の飼養管理体系に活用できる。

  2. 肥育中期に飼料摂取量が低下した場合、その時点からビタミンA給与を再開し、血中ビタミンA量を適正に制御することで、ビタミンA欠乏症状の発生を防止する必要がある。

[具体的データ]

表1 肥育体系および給与飼料


図1 TDN摂取量および血中ビタミンA推移(試験1)


図2 TDN摂取量および血中ビタミンA推移(試験2)


表2 体重推移および増体重


表3 枝肉成績

[その他]
研究課題名:交雑種の肥育技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2003年度


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