肉用「天草大王」種鶏の受精率向上
- [要約]
- 高品質肉用種鶏「天草大王」は、育成期の雌雄別飼育および交配期の雌雄別給餌による雄に対する制限給餌を行うことで、受精率の低下を防止できる。
- [キーワード]
- 天草大王、種鶏、制限給餌、雌雄別給餌
- [担当]
- 熊本県農業研究センター・畜産研究所・中小家畜研究室
[連絡先]電話096-248-6433
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(豚・鶏・畜産環境)
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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高品質肉用雄種鶏として復元した「天草大王」は非常に大型の鶏であるため、交配する雌系統(九州ロード)との体重差が大きく、加齢に伴う受精率の低下が問題である。これまでは、体重を制限するために、育成期に体重を制限していたが、交配期に雌雄一緒に飼育すると雄に対する制限給餌ができなくなるため、雄が急激に成長して雌雄の体格差が大きくなり過ぎて受精率が低下する。そこで、雌雄一緒に飼育した後も雄の体重が大きくならないよう、雄は雌の給餌器から、雌は雄の給餌器から飼料を摂取できないよにした雌雄別給餌による制限給餌を実施することによって、受精率の低下を防止する。
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[成果の内容・特徴]
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50〜154日齢までは雌雄別飼育により、155日齢からは雌雄別給餌により、雄に対する制限給餌を行う(表1)。
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雌雄別給餌の方法は、雌用では、給餌器に雄の頭が入らない間隔(4.2cm)(表2)で格子をつけることにより、雄用では、雌が届かない高さ(56cm)(図1)に給餌器を吊すことにより行う。
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154日齢まで制限給餌した後自由摂取とした対照区に比べて制限区では、399日齢の体重が雄1.1kg、雌600g小さくなり、176〜399日齢時の産卵率は約4%良くなる(表3)。また、176〜399日齢の雄を含む全群の飼料摂取量は1日1羽当たり10g少なくなる。
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受精率は、対照区が256日齢以降60〜70%台に低下するのに比べて、制限区はほぼ全期間80%以上を維持する(図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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肉用「天草大王」の種卵を生産する種鶏場に適応するが、雌用の給餌器にかぶせる格子の幅と、雄用の給餌器の高さ、および制限給餌の量を鶏種に合わせて調節することにより、他の高品質肉用種鶏にも応用することができる。
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制限給餌の量は季節に応じて若干調節すること。
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[具体的データ]
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表1 制限給餌量(g/1日1羽)

表2 成鶏の頭の幅([cm])

図1 ホッパーの高さ

表3 産卵期の成績(176〜399日齢)

図2 受精率の推移
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[その他]
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研究課題名:鶏の新系統造成
予算区分 :県単
研究期間 :1993年度〜継続
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