福岡県における稲発酵粗飼料用稲の施肥量別最適移植密度
- [要約]
- 稲発酵粗飼料用稲を食用稲の標準施肥で栽培すると、「ホシアオバ」は14株/m2、「クサホナミ」は17株/m2で多収となる。また、多施肥栽培では、「ニシホマレ」、「ホシアオバ」を11株/m2の粗植栽培としても10aあたり1.4t以上の乾物収量が期待できる。
- [キーワード]
- 稲発酵粗飼料用稲、飼料イネ、施肥量、移植密度、粗植、密植
- [担当]
- 福岡農総試・畜産環境部・飼料チーム
[連絡先]電話092-925-5177
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(草地飼料作)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
- 転換水田における主要作物は、大豆、麦、飼料作物が代表的な作物であるが、水田に適した飼料作物として稲発酵粗飼料用稲(以下飼料イネ)が注目を集めている。飼料イネでは穀実だけでなく茎葉も飼料として利用するが、この利用形態に適した品種や、低コスト生産のための省力かつ多収栽培技術が明らかにされていない。このため、福岡県に適した飼料イネの品種を選定するとともに多収栽培技術及び利用技術を確立するため、施肥量及び移植密度と乾物収量の関係について検討する。
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[成果の内容・特徴]
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飼料イネの草丈は、施肥量が増加するに従い高くなる。特に、「ホシアオバ」、「クサホナミ」は多肥栽培した場合、収穫時草丈は約140cmに達する(図1)。
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一株あたり茎数(分げつ数)は施肥量が多くなるほど、また移植密度が低くなるほど多くなる(図2)。
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標準施肥では「ホシアオバ」の14株/m2(株間24cm)及び「クサホナミ」の17株/m2(株間20cm)が多収で、10aあたり1.45t以上の高乾物収量となる(表1)。
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品種によって多肥栽培による増収効果は異なるが、「ニシホマレ」、「ホシアオバ」を利用し、多肥栽培で11株/m2(株間30cm)の粗植栽培した場合、収量10aあたり1.4t以上の乾物収量となる(表1)。多肥栽培では、「ホシアオバ」を利用し27株/m2(株間12cm)すると1.5t以上の高乾物収量となるが、倒伏が発生する。
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以上のことから、標準施肥では、「ホシアオバ」の14株/m2、「クサホナミ」の17株/m2が適し、多肥栽培では「ニシホマレ」または「ホシアオバ」の11株/m2が適している。
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[成果の活用面・留意点]
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九州北部において、飼料イネを6月上旬移植栽培する場合の参考とする。
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移植時期が大きく異なる場合及び移植以外の栽培方法の場合は別途検討が必要である。
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試験データは平成15年度1年のみのデータである。
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[具体的データ]

図1 施肥量と草丈

図2 移植間隔及び施肥量と株あたり茎数

表1 品種及び施肥量、移植密度別の乾物収量(単位:t/10a)
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[その他]
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研究課題名:飼料イネの品種選定と多収栽培技術
予算区分 :県単
研究期間 :2003年度
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