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黒毛和種牛過剰排卵処理後の人工授精回数低減技術


[要約]
黒毛和種牛の過剰排卵処理により誘起された発情日にGnRH(酢酸フェルチレリン)を200μg投与することにより、1回の人工授精で2回人工授精を実施した場合と同等の採胚成績が得られる。

[キーワード]
肉用牛、黒毛和種、過剰排卵処理、GnRH、人工授精

[担当]
福岡農総試・家畜部・肉用牛チーム

[連絡先]電話092-925-5232	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
現行の過剰排卵処理プログラムでは、FSH(卵胞刺激ホルモン)の3日間朝夕漸減投与や2回の人工授精を実施しており、作業が繁雑である、コストが高い、牛に対するストレスが大きい等の問題点がある。そこで、発情誘起のためのPGF2α(プロスタグランディンF2α)投与、排卵誘発のためのGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)投与および人工授精を効果的に組み合わせることにより、黒毛和種供胚牛における過剰排卵処理後の人工授精回数の低減技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
  1. 黒毛和種牛の過剰排卵処理時におけるPGF2α投与48時間後にGnRHを投与して56時間後に人工授精、または56時間後にGnRHを投与して72時間後に人工授精を実施することにより、1回の人工授精で2回人工授精と同等の採胚成績が得られる(表2)。

  2. PGF2α投与48時間後にGnRHを投与して56時間後に人工授精する方が、56時間後にGnRHを投与して72時間後に人工授精を実施する方法より、総胚数、正常胚数、AB胚数が多い傾向にある。PGF2α投与56時間後にGnRHを投与して72時間後に人工授精すると、総胚数は少ないが、正常胚率およびAB胚率は高い傾向にある(表2)。

  3. 1回人工授精時におけるGnRH(酢酸フェルチレリン)の投与量としては、200μgの方が100μgより未受精卵率が低くなり、AB胚採取数が多くなる傾向にある(表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 黒毛和種牛における過剰排卵処理後の人工授精回数低減技術の参考データとして活用できる。

[具体的データ]

表1 過剰排卵処理〜採胚スケジュール


表2 過剰排卵処理時のGnRH投与および人工授精時期が採胚成績に及ぼす影響


表3 過剰排卵処理時のGnRH投与量が採胚成績に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:牛の過排卵処理におけるFSH投与回数および人工授精回数の低減技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2003年度


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