搾乳牛における稲発酵粗飼料のTMR給与
- [要約]
- 搾乳牛に給与する混合飼料(TMR)の粗飼料として、稲発酵粗飼料を乾物割合で24%程度混合給与しても、飼料摂取量、乳量、乳質、血液性状への影響は特に認められず、稲発酵粗飼料は搾乳牛の粗飼料として利用できる。
- [キーワード]
- 稲発酵粗飼料、搾乳牛、TMR、嗜好性
- [担当]
- 佐賀県畜産試験場・大家畜部・乳牛飼料研究担当
[連絡先]電話0954-45-2030
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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最近の酪農経営は、流通乾草への依存度が高く自給飼料生産が減退している状況にある。一方、耕種部門においては転作水田や遊休地の効率的利用が課題となっていることから飼料用イネの利活用が望まれているところである。そこで、稲発酵粗飼料の普及定着を図るため、TMRの主な粗飼料として稲発酵粗飼料の搾乳牛への給与試験を実施、併せて嗜好性・乳量・乳質・血液成分等について検討し、稲発酵粗飼料のTMR利用技術を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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泌乳中期の搾乳牛に、稲発酵粗飼料をTMR中の乾物割合で24.1%(現物で10.5Kg)混合給与しても飼料摂取量の低下はなく、嗜好性に問題はない(表1、表2、表3)。
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乳量、乳成分もスーダン乾草主体TMRと比較して特に差はみられない(表4)。
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血液生化学性状についても特に変化はみられず、疾病の発生も認められない(表5)。
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[成果の活用面・留意点]
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乳牛へ給与するTMRの粗飼料として稲発酵粗飼料を用いる際の指針として利用できる。
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稲発酵粗飼料を初めて給与する場合は、3〜7日程度のならし期間(馴致期間)を設け、徐々に給与量を増やしていく。
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[具体的データ]
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表1 TMR配合割合

表2 稲発酵粗飼料成分組成(DM%)

表3 飼料摂取量

表4 乳量・乳成分

表5 血液性状
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[その他]
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研究課題名:物質循環型地域営農システムにおける高品質牛乳の安定生産技術
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :1999〜2003年度
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