キノコ廃菌床混合による堆肥化過程でのアンモニア発生量低減効果
- [要約]
- キノコ廃菌床はpHが低く、家畜ふん堆肥化時の副資材として利用することによってオガクズを副資材とした場合と比較してアンモニア発生量を低減することが可能である。また、キノコ廃菌床の混合によって堆肥温度に悪影響を与えることはない。
- [キーワード]
- キノコ廃菌床、アンモニア
- [担当]
- 佐賀県畜産試験場・中小家畜部・養豚環境研究担当係
[連絡先]電話0954-45-2030
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(豚・鶏・畜産環境)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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キノコ工場から排出された廃菌床は簡易に堆肥化処理された後、土壌還元されている場合が大半であるが、オガクズが主原料であり、pHが低いため堆肥化副資材やアンモニア発生抑臭資材としての利用が期待できる。そこで、鶏ふんおよび牛ふんにキノコ廃菌床を混合して堆肥化試験を行い、堆肥化過程でのアンモニア発生量や堆肥温度を調べることでキノコ廃菌床混合の有効性を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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採卵鶏ふんにキノコ廃菌床およびオガクズを混合して堆肥化を行った場合、オガクズと比較してキノコ廃菌床は堆肥化開始から2週間のアンモニア発生量を50%以下に抑えることが可能である。副資材として同量混合した場合、堆肥温度の立ち上がりは遅いが、最高温度はほとんど変わらない(表1、図1)。
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乳牛ふんにキノコ廃菌床およびオガクズを混合して堆肥化を行った場合、オガクズと比較してキノコ廃菌床は堆肥化開始から2週間のアンモニア発生量を50%以下に抑えることが可能である。副資材を同量混合して比較した場合、堆肥温度の立ち上がりは遅いが、最高温度はほとんど変わらない(表2、図2)。
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鶏ふん、牛ふん共にキノコ廃菌床を混合することによってオガクズを混合した場合よりもpHが低下し、このpHの低下が主原因となってアンモニア発生が抑制されると推測される(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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家畜ふん堆肥化時の臭気対策に活用できる。
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アンモニア発生量低減の要因としてはC/N比調整による微生物のアンモニア態窒素の資化も要因として考えられる。
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キノコ廃菌床はキノコ栽培工場で入手可能であるが入手価格については確認が必要である。
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[具体的データ]
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表1 鶏ふん堆肥化時のアンモニア発生量の比較

図1 堆肥温度の変化(鶏ふん堆肥化)

表2 牛ふん堆肥化時のアンモニア発生量の比較

図2 堆肥温度の変化(牛ふん堆肥化)

表3 堆肥の成分の変化
注)1.鶏ふんの堆肥化時は採卵鶏ふん2.8kgに副資材を1.4kg混合した。
2.乳牛ふんの堆肥化時には乳牛ふん4kgに副資材1.6kgを混合した。
3.実験には小型室内堆肥化実験装置を使用した。
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[その他]
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研究課題名:家畜排せつ物有効利用新技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2003年度
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