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採卵鶏糞への有機資材混合による悪臭低減効果


[要約]
採卵鶏糞による悪臭に、ミカンジュース粕、米糠、過燐酸石灰のいづれも低減効果がある。これらの投資限界から求めた糞に対する散布混合限界割合はそれぞれ35%、35%、12%であって、この場合の散布混合1週間後のアンモニア低減効果は無散布混合時の発生量を100としてそれぞれ1,0,15である。

[キーワード]
採卵鶏糞、有機資材散布混合、悪臭低減

[担当]
佐賀畜試・中小家畜部・養鶏研究担当係

[連絡先]電話0954-45-2030	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(豚・鶏・畜産環境)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
近年、農村の混住化や住民の環境意識の高まり等に伴い、鶏糞から発生する悪臭の問題は採卵鶏経営の安定的継続を左右する大きな要因となっており、悪臭の低減に対する取組が一層求められている。このため、糞への有機資材散布混合による悪臭低減効果について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 普及性を考慮し、低価格で利用し易い資材について、投資限界額を製品鶏糞販売額(200円/15kg)相当とし、散布混合限界量を糞の発酵適正水分(60%)調整資材量として求めた資材毎の散布混合限界割合の範囲内で、表1の試験区分により試験を実施したところ、悪臭(アンモニア)の低減効果はミカンジュース粕、米糠、過燐酸石灰ともいずれもある。この内、米糠35%散布混合が最も有効である。(表1表2

  2. いずれの資材も散布混合1時間後、1日後、1週間後とも概ね散布混合割合に比例して低減効果が大きくなる。散布混合1週間後では、糞に対する散布混合限界割合、米糠35%、みかんジュース粕35%、過燐酸石灰12%の場合、アンモニア発生量を無散布混合時を100としてそれぞれ、0,1,15に低減できる。(表2

  3. 散布混合割合当たりの悪臭低減効果は回帰式の係数が示すように過燐酸石灰が最も大きい。(図1,図2,図3

  4. 各資材の散布混合割合に比例してPHは低下しており、このPHの低下が要因となってアンモニア発生が抑制されると推測される。(図1,図2,図3

[成果の活用面・留意点]
  1. 投資限界額を超えても悪臭を低減する必要がある場合は過燐酸石灰が有効である。

  2. 米糠、ミカンジュース粕を用いる場合は嵩張るため、処理量が増え注意が必要である。(表1

  3. 散布混合後堆肥として用いる場合は、アンモニア成分(窒素分)が残っている可能性があるので、肥料成分分析をする等注意が必要である。

  4. 混合後1週間を超えての悪臭低減については、別途検討が必要である。

[具体的データ]

表1 試験区分


表2 有機資材散布混合時アンモニア発生量の推移


図1 米糠混合割合とアンモニア低減量、PHとの関係


図2 ジュース粕混合割合とアンモニア低減量、PHとの関係


図3 過燐酸石灰混合割合とアンモニア低減量、PHと関係

[その他]
研究課題名:採卵鶏における悪臭等低減に関する試験
予算区分 :県単
研究期間 :2004年度(2001〜2004年度)


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