飼料イネサイレージ給与による黒毛和種子牛育成
- [要約]
- 黒毛和種子牛育成において、粗飼料を飼料イネサイレージとし飽食給与すると、粗飼料からのCP摂取量が少なくなるものの、イタリアン乾草給与同様に良好な発育が望める。
- [キーワード]
- 飼料イネサイレージ、黒毛和種、子牛、育成
- [担当]
- 長崎畜試・大家畜科
[連絡先]電話0957-68-1135
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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県内における子牛育成用の良質乾草は、自給粗飼料ではイタリアンライグラスであるが、春季に乾草調製を行うため、調製の可否は天候に左右されやすく、年間を通して乾草を確保する点からみるとイタリアンライグラスだけでは不十分である。また、黒毛和種子牛に飼料イネサイレージを給与した知見は少ない。そこで、飼料イネサイレージ給与が黒和種子牛の発育に及ぼす影響を明らかにし、自給粗飼料を基軸とした子牛への安定的な飼料給与技術を開発する。
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[成果の内容・特徴]
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黒毛和種子牛8頭(♂:4〜8ヶ月齢、♀:4〜9ヶ月齢)を供試し、試験区分は粗飼料として飼料イネサイレージを飽食する試験区(n=4:♂1♀3)と、イタリアンライグラス乾草を飽食する対照区(n=4:♂1♀3)とした(表1)。なお、濃厚飼料は両区とも制限給与した。
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粗飼料からのTDN摂取量は、両区に大きな差は見られないものの、CP摂取量は全期間を通して試験区が少なくなる。それに伴い、CPの栄養充足率が満たされない期間もある(表2)。
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体重推移は、両区に有意な差は見られず、飼料イネサイレージを給与した場合でも良好な発育を示す(図1)。
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体高の推移は、両区に有意な差は見られず、良好な発育を示す(図2)。
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黒毛和種子牛育成において、飼料イネサイレージはイタリアン乾草の代替粗飼料として利用可能である。
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[成果の活用面・留意点]
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黒毛和種子牛育成において、粗飼料を飼料イネサイレージとした場合は、CPの充足率に留意した飼養方法が必要となる。
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[具体的データ]
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表1 粗飼料の成分値および飼料イネサイレージの品種等

表2 DM、TDN、CP摂取量及び栄養充足率

図1 体重推移

図2 体高推移
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[その他]
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研究課題名:飼料イネサイレージの簡易栄養価推定法による育成牛への給与技術の開発
予算区分 :受託(独立行政法人農業技術研究機構)
研究期間 :2003〜2005年度
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