暑熱時における廃シロップ添加による乳牛の採食性改善効果
- [要約]
- 乳牛の採食量が減少する暑熱時に、TMR給与量の5.5%の廃シロップを添加することにより、採食量減少を緩和でき、1日に必要なTDN要求量を充足できる。
- [キーワード]
- シロップ、乳用牛、暑熱、嗜好性
- [担当]
- 長崎畜試・大家畜科
[連絡先]電話0957-68-1135
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考
-
[背景・ねらい]
-
長崎県内の大規模缶詰工場から製造副産物として1日最大で40tもの廃シロップが排出され、処理業者に引き取られている。これらの廃シロップには多くの糖分が含まれており、乳牛用飼料として嗜好性の向上効果が期待される。特に夏場には環境温度の上昇による採食量および乳量減少が課題であり、暑熱対策としてこれらの廃シロップをTMRへトップドレス給与した場合の採食量等に及ぼす効果を調査する。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
試験期間中の乾物摂取量、乳量、乳成分に差は認められなかった(表2)。
-
暑熱期において泌乳牛に給与するTMRに廃シロップをトップドレス給与すると、牛舎内平均気温が摂氏25.5度以上となるような場合、乾物摂取量の減退が緩和され、TDN充足率の低下を防止できる(図1、図2)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
暑熱時における乳用牛の採食量維持に利用できる。
-
廃シロップは液状でハンドリングが悪く腐敗しやすいため、簡易な輸送法および保存法を検討する必要がある。
-
[具体的データ]
-

表1 TMR成分値

表2 乳量・乳成分

図1 牛舎内平均気温とTDN充足率の関係

図2 牛舎内平均気温とDM摂取量の関係
-
[その他]
-
研究課題名:高泌乳牛の生涯高生産技術の確立
予算区分 :助成事業(地域基幹)
研究期間 :2003年度
目次へ戻る