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肥育後期の乾燥豆乳粕給与が褐毛和種去勢牛の産肉性に与える影響


[要約]
褐毛和種去勢牛の肥育後期190日間に乾燥豆乳粕混合飼料を給与することにより、飼料費を低減しつつ、BMSNo、BCSNo、肉の光沢および脂肪の光沢・質の向上が図られる。

[キーワード]
乾燥豆乳粕、肥育後期、産肉性、褐毛和種

[担当]
熊本県農業研究センター・畜産研究所・大家畜研究室

[連絡先]電話096-248-6433	
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地(大家畜)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
飼料自給率の向上や資源循環型社会の構築に向け、肉用牛肥育においても低・未利用資源の活用が重要な課題となっている。食品製造副産物である乾燥豆乳粕は、TDN、CP含量ともに高く、取り扱いも容易であるため、肉牛肥育用飼料としての利用価値は高いと思われる。また、ビタミンE含量が豊富であり、肉色の改善・保持や牛への抗病性付与等の効果も期待できる。そこで、褐毛和種去勢肥育牛への乾燥豆乳粕給与が発育性および枝肉成績に与える影響を明らかにし、食品製造副産物の利用による高品質・高付加価値牛肉生産の一助とする。

[成果の内容・特徴]
  1. 乾燥豆乳粕を乾物比14%混合した飼料(表1、豆乳粕区)を肥育後期190日間に飽食給与給与すると、慣用飼料(表1、慣用区)給与と比べ、TDN摂取量は同等となり、CP摂取量が多くなる(表2)。

  2. 乾燥豆乳粕の利用により、1頭あたりの摂取飼料費は約2,700円低減する(表2)。

  3. 乾燥豆乳粕混合飼料を給与した場合の増体成績および飼料効率は、慣用飼料を給与した場合と同等になる(表3)。

  4. 乾燥豆乳粕混合飼料を給与した場合の枝肉歩留成績は、慣用飼料給与に比べ、枝肉重量およびばらの厚さにおいて、やや優れる(表4)。

  5. 乾燥豆乳粕混合飼料を給与した場合の枝肉肉質成績は、慣用飼料給与に比べ、BMSNo.および脂肪の光沢・質において有意に優れ(P<0.05)、BCSNo.および肉の光沢においても優れる傾向となる(図1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 乾燥豆乳粕は粗脂肪(EE)含量が高いため、配合割合を高めすぎると第一胃内性状に悪影響を与える恐れがある。

  2. 乾燥豆乳粕のビタミンE含量および脂肪酸組成は、トランスバッグ内での暑熱期における長期保管(4〜8月)によっても、ほとんど変動しない。

[具体的データ]

表1 供試飼料の組成


表2 飼料摂取量(1頭当たり190日間累計)


表3 増体成績


表4 枝肉歩留成績


図1 枝肉肉質成績

[その他]
研究課題名:飼料イネ等国産飼料や未利用資源の利用による高付加価値牛肉生産技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2007年度


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