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低蛋白質飼料の期別給与による採卵鶏の窒素排泄量低減効果


[要約]
アミノ酸要求量を満たした低蛋白質飼料(粗蛋白質含量13%)を産卵後期(53週齢以降)に採卵鶏に給与しても、産卵成績に負の影響を及ぼすことなく、排泄される窒素量は約12%低減できる。

[キーワード]
環境負荷、アミノ酸、低蛋白質飼料、採卵鶏

[担当]
熊本県農業研究センター・畜産研究所・中小家畜研究室

[連絡先]電話096-248-6433	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(豚・鶏・畜産環境)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
養鶏経営では、最大の鶏卵生産を追求した結果、給与飼料の蛋白質含量が要求量を超えるレベルになっている。日本飼養標準では、採卵鶏の蛋白質要求量は粗蛋白質(CP)15.5%と設定されているが、実際には、CP17%以上の飼料が給与されていることから、直接利用されずに排泄される窒素の割合が多くなり、環境負荷の原因となっている。そこで、アミノ酸要求量を満たした低蛋白質飼料(CP13%)を産卵全期間、産卵中後期(37週齢以降)、産卵後期(53週齢以降)に給与する期別給与が、産卵成績と排泄窒素量に及ぼす影響を検討して、環境に配慮した採卵鶏の飼養管理技術の確立を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. 産卵後期(53週齢以降)に市販飼料(CP17%)から低蛋白質飼料(CP13%)に切り替えても産卵成績において、市販飼料を全期間給与した対照区との間に差は認められず、同等の生産性が確保できる(表1図1)。なお、低蛋白質飼料は単体アミノ酸(リジン、メチオニン、トリプトファン)を添加することにより必須アミノ酸要求量を満たし、代謝エネルギーは市販飼料と同水準に合わせる。

  2. 低蛋白質飼料を給与すると採卵鶏からの排泄窒素量が減少し、対照区と比べて、21週区では34.4%、37週区では25.6%、53週区では12.7%の排泄窒素量の低減が可能である(表2図1)。

  3. 53週区は販売収入及び飼料摂取量において、対照区とほとんど差がないことから、飼料価格が同程度であれば対照区と同等の高い経済性が得られる(表3図1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 採卵鶏用飼料の低蛋白質化の限界といわれているCP含量14%よりさらに低い13%においても、期別給与を行うことによって、産卵性を損なわずに排泄窒素量の低減を図ることができる。

  2. 飼料メーカーによる安価な低蛋白質飼料の供給が必要である。

[具体的データ]

表1 産卵成績(21〜68週齢)


表2 窒素出納成績(21〜68週齢・1羽当たり)

飼料価格及び鶏卵販売価格

CP17%飼料価格:31.5円

CP13%飼料価格:32.8円

(飼料会社の見積金額)

鶏卵販売価格:福岡卸売市場の平均価格


図1 産卵日量、排泄窒素量、経済性


表3 販売収入、費用、収益及び経済性(21〜68週齢・1羽当たり)

[その他]
研究課題名:採卵鶏における低蛋白質飼料の期別給与試験
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2003年度


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