飼料イネ(モーれつ種)サイレージの黒毛和種繁殖牛への給与技術
- [要約]
- 超早期母子分離方式における分娩前後の黒毛和種繁殖牛への飼料イネ(モーれつ種)サイレージ給与にあたっては、濃厚飼料を活用することにより、血液性状、繁殖成績に影響なく利用することができる。
- [キーワード]
- 肉用牛、繁殖牛、飼料イネ、モーれつ、サイレージ
- [担当]
- 宮崎畜試・飼養部・肉用牛科
[連絡先]電話0984-42-1122
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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近年、本県においては、飼料イネの栽培面積が増加してきており、インディカ種のモーれつ種が主流である。これらは、ホールクロップサイレージ(以下WCS)での利用が多く見られるが、これらの黒毛和種繁殖牛の分娩前後への給与に関する検討は少ない。そこで、飼料イネ(モーれつ種:糊熟期)WCSの黒毛和種繁殖牛への分娩前後の給与が繁殖成績に及ぼす影響を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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黒毛和種繁殖牛を用い、飼料イネWCSと濃厚飼料を給与する試験区(5頭)とイタリアンライグラス又はソルガムサイレージ(表1)と濃厚飼料を給与する慣行区(9頭)を設け、日本飼養標準に準じて、分娩前2ヶ月から分娩後再受胎まで給与した。分娩後は、2日齢で母子を分離し、その後は維持に要する養分量を給与した。
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両区の飼料摂取量は、日本飼養標準に対するCP、TDNの養分充足率で、妊娠末期の試験区が94%、93%、慣行区では100%、94%であり、母子分離後では、試験区で99%と100%、慣行区で115%、98%である(表2、図1)。
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血中の総コレステロール及び尿素態窒素濃度は、両区ともほぼ正常域で推移する。(図2)。
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試験区は、慣行区に比べ、分娩後初回発情及び分娩後再受胎日数においてやや遅い傾向にあるが、両区に有意な差はない(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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黒毛和種繁殖牛への飼料イネ(モーれつ種)給与の参考として利用できる。しかし、実際の給与にあたっては、飼料分析を実施することが重要である。
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[具体的データ]
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表1 給与サイレージの成分値

表2 飼料摂取量

図1 養分充足率

図2 血中総コレステロール・尿素態窒素の推移

表3 繁殖成績
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[その他]
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研究課題名:21世紀を担う肉用繁殖牛の飼養管理確立試験
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2004年度
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