Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成16年度目次

沖縄地域における暖地型イネ科牧草給与による乳生産


[要約]
沖縄県内で普及推進している暖地型イネ科パンゴラグラスのトランスバーラを輸入飼料の代替えとして活用することにより乳量、乳成分を維持できる。

[キーワード]
乳用牛、暖地型イネ科自給粗飼料、トランスバーラ

[担当]
沖縄県畜産試験場・大家畜研究室

[連絡先]電話0980-56-5142	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
我が国の畜産は自給飼料を基盤とした物質循環型の振興が今後必要となる。しかしながら沖縄県内の酪農経営のほとんどは輸入飼料に依存している。そこで現在沖縄県内で普及推進している暖地型イネ科牧草パンゴラグラス品種、トランスバーラを購入粗飼料であるエン麦と比較し、泌乳牛の自給粗飼料代替への可能性を検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 今回用いた供試飼料(表1)では、トランスバーラ区において乾物摂取量およびTDN摂取量が有意に低く、CP摂取量が有意に高い(表2)。

  2. トランスバーラ区の血中総コレステロール値は219.25mg/dlであるが、エン麦区との有意差は認められない。血液尿素窒素値はトランスバーラ区で19.16mg/dlでエン麦区より有意に高い(表3)。

  3. 乳量はトランスバーラ区で37.34kg/日であり、エン麦区とほぼ同じである。これはFCM乳量についても同様である。乳脂率についてはトランスバーラ区が4.27%であり、エン麦区より高い傾向にあるが、有意差は認められない。乳タンパク質率についてはトランスバーラ区が3.67%でエン麦区とほぼ同じである(表4)。

[成果の活用面・留意点]
今回の結果は購入粗飼料のエン麦の代替として自給粗飼料のトランスバーラが乳用牛の混合飼料に活用できることを示唆するものであり、今後の参考資料となる。実際にトランスバーラを混合飼料として活用する場合は乾物摂取量向上のための嗜好性対策および栄養設計(特にCP含量)について留意する必要がある。

[具体的データ]

表1 供試飼料の栄養成分(単位:DM%)


表2 乾物摂取量、TDN・CP摂取量、体重増減率


表3 血液性状


表4 泌乳成績

[その他]
研究課題名:乳牛における産前産後の飼養管理技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2005年度


目次へ戻る