追播ギニアグラスの生育を向上させる前作イタリアンライグラス品種選定
- [要約]
- 冬季イタリアンライグラス(IR)草地へ放牧を継続しつつ追播造成する夏季ギニアグラス草地の収量は、リノベータ(簡易草地更新機)法では極早生IR品種ミナミアオバおよび早生IR品種ワセユタカ、蹄耕法では極早生IR品種ミナミアオバで多い。
- [キーワード]
- 周年放牧、イタリアンライグラス、ギニアグラス、簡易草地更新機、蹄耕法
- [担当]
- 九州沖縄農研・畜産飼料作研究部・草地管理利用研究室
[連絡先]電話096-242-7757
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(草地飼料作)、畜産草地
[分類]技術・参考
-
[背景・ねらい]
-
九州地域の低標高地における高牧養力周年放牧草地として、冬季および夏季において栄養価の高いイタリアンライグラスとギニアグラスを組み合わせることが有効であることを明らかにしてきたが、現状の周年放牧は冬季草地と夏季草地の二つの草地を利用して実施されており、より草地を有効利用するために、同一圃場で周年放牧を実施できる技術が要望されている。そこで、省力的造成法であるリノベータ(簡易草地更新機)法および蹄耕法により、前作イタリアンライグラス草地へギニアグラス(品種ナツコマキ)を追播し放牧利用する時に有効な前作イタリアンライグラス品種について検討する。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
リノベータ法を用いて同一圃場で放牧を継続しつつ、冬季イタリアンライグラス草地に夏季ギニアグラスを追播造成する場合、前作イタリアンライグラスに極早生品種ミナミアオバおよび早生品種ワセユタカを用いると、晩生品種エースを用いる場合より、追播ギニアグラスの乾物重は多く推移する(図1)。
-
リノベータ法において前作イタリアンライグラスにミナミアオバおよびワセユタカを用いると、エースを用いる場合より追播ギニアグラス茎数は多くなる(図2)。
-
蹄耕法を用いて追播造成する場合に、前作イタリアンライグラス品種にミナミアオバおよびワセユタカを用いると、エースを用いる場合と比較し、リノベータ法と同様に追播ギニアグラス乾物重は多く推移し(図1)、茎数も多い傾向を示す(図2)。一方、リノベータ法と異なり、ワセユタカについては、ギニアグラス乾物重の年次間のばらつきが大きい傾向にある(図1)。
-
リノベータ法で造成されるギニアグラス草地の全生育期間の乾物収量は1500kg/10aを越え、牧養力も1000CD(頭・日/ha)を越える高い値と推定される。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
リノベータには60ps以上の大型トラクターが必要であることから、大型トラクターを用いることの出来る転作田等ではリノベータ法を、用いることの出来ない棚田等では蹄耕法を、それぞれ利用出来る。
-
ギニアグラスは排水の良い転作田等で用いる。
-
[具体的データ]
-

図1 前作イタリアンライグラスと追播ギニアグラスの放牧期間の乾物収量

図2 各簡易更新法を用いた場合の追播ギニアグラス茎数の推移

表1 全生育期間の追播ギニアグラス乾物収量と牧養力(推定値)
-
[その他]
-
研究課題名:一年生牧草種を組み合わせた高牧養力周年放牧草地の省力的造成・利用技術の開発
課題ID:07-04-04-*-02-03
予算区分 :交付金
研究期間 :2001〜2003年度
目次へ戻る