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プログラムフリーザーによる凍結融解後精子生存性の改善


[要約]
融解後の豚凍結精子の精子生存指数には個体差がある。融解後精子生存率の高い種雄豚の精液は、従来法よりプログラムフリーザーで凍結する方が、精子生存性を改善できる。

[キーワード]
豚、凍結精液、プログラムフリーザー

[担当]
佐賀畜試・中小家畜部・養豚環境研究担当係

[連絡先]電話0954-45-2030	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(豚・鶏・畜産環境)	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
豚凍結精液を用いた人工授精は、系統豚など優良種豚の長期保存や、優良遺伝形質の導入などに利用できる技術である。しかし、この技術は豚精液が低温感受性が高いこと、個体差があることなどから、実用化には至ってない。ところで、近年、液状精液による人工授精技術が普及されつつあるものの、特に夏場などの安定した精液供給の必要性から、精液の凍結保存が注目されている。そこで、凍結時の精子に与える低温ショックを軽減するため、プログラムフリーザー法と従来法による凍結を実施し、融解後の精子生存性について比較検討を行う(表1)。

[成果の内容・特徴]
  1. 豚凍結精液は融解後の精子生存指数に個体差がある(表2)。

  2. プログラムフリーザーを用いると、従来法で凍結した場合よりも融解後の精子生存率が高まる傾向がある。特に精子生存指数が高い精液では、プログラムフリーザーによる生存率改善効果が大きい(図1)。

  3. 精子生存指数の高い種雄豚の精液(融解時の指数50以上。No36,38,41)は、従来法で凍結した場合と比較して、プログラムフリーザーで凍結することにより、融解後の培養時間が30分前後までは、精子生存指数が高い(図2)。

  4. 精子生存指数が低い種雄豚(融解時の指数50以下:表1ではNo35,39,90)では、プログラムフリーザーによる凍結の効果は認められない(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. プログラムフリーザーを用いた凍結法は、従来に比較して液体窒素の使用量が多いことから、ある程度まとめて凍結を行う方が経済的である。

[具体的データ]


表1 凍結条件


表2 個体毎の融解時精子生存指数


図1 凍結方法の違いによる、融解時の精子生存率への影響


図2 精子生存指数が高いグループの凍結方法の違いによる精子生存指数への影響


図3 精子生存指数が低いグループの凍結方法の違いによる精子生存指数への影響

[その他]
研究課題名:豚優良遺伝資源の精液・受精卵での長期保存技術の確立試験
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2004年度


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