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ヒリュウ台「青島温州」の安定生産のための樹齢別適正着果数の目安


[要約]
ヒリュウ台「青島温州」は、樹冠拡大を図った5年生樹で初着果させることにより、その後の着果および品質が安定する。着果量の目安は、初着果年が1立方メートル当たり20果以内、着果2年目は20〜30果、3年目以降は30〜35果程度となる。

[キーワード]
ヒリュウ台、青島温州、着果数、葉果比

[担当]
長崎果樹試・生産技術科

[連絡先]電話0957-55-8740	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
摘果、収穫労力の軽減や高糖度果実の生産安定にのために、わい性台木であるヒリュウ台木の利用が温暖多雨地域の西南暖地では有効であると考えられる。しかし、ヒリュウ台に適する着果年次別の適正な着果量などの栽培技術が明らかにされていないことが普及の障害となっている。そこで、ヒリュウ台「青島温州」における年次別の着果量、葉果比の目安値を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 定植4年目で4年生樹の樹容積は、4年目初着果区が5年目初着果区に比べ有意に小さい。その差は8年生樹においても同様である(表1)。

  2. 4年生樹で葉果比30として初着果させた場合、翌年以降の収量増加が5年目初着果に比べて小さく、5年生樹で葉果比40〜50で初着果するとその後の生産が安定して向上する(図2)。

  3. 5年目に初着果させた場合は、1立方メートル当たり着果数を20果以内とし、着果2年目は20〜30、着果3年目以降は30〜35果程度とすることで、着果2年目以降は1樹当たり20kg以上の収量が得られ早期から中玉果生産ができる(図2図3表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. ヒリュウ台「青島温州」は、着花性がよいので着果過多とならないよう枝別摘果などにより適正着果に努める。

  2. ヒリュウ台「青島温州」は、着果を始めると樹冠の拡大が緩やかとなるので、初着果年までに充分に樹冠の拡大を図っておくことが必要である。

  3. 結晶片岩土壌での成果であることに留意する。

[具体的データ]

図1 初着果時期の違いと樹齢別葉果比


表1 初着果年の違いが樹の生育に及ぼす影響


図2 着果年、着果程度の違いと樹齢別収量の差異


図3 5年目初着果の単位樹容積当たりの樹齢別着果数


表2 5年目初着果と果実重、葉果比、果実品質(2000〜2003)

[その他]
研究課題名:温州ミカンの品質保証果実の少資材・低コスト生産体系の確立
予算区分 :国庫(地域基幹)
研究期間 :1999〜2003年度


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