Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成16年度目次

ハウス栽培ビワ「長崎早生」の高温抑制による発蕾・開花促進


[要約]
ビワ「長崎早生」の夏季における発蕾に最適な温度は摂氏25度である。4月〜6月に土壌を乾燥させ、7月〜8月に細霧冷房することにより発蕾、開花が早くなる。

[キーワード]
ビワ、長崎早生、細霧冷房、発蕾、開花

[担当]
鹿児島果樹試・栽培研究室

[連絡先]電話0994-32-0179	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
ビワの形態的花芽分化は7〜8月に認められるが、夏季は発蕾しない。その原因は、高温の影響と考えられる。そこで、発蕾、開花に適した温度条件を明らかにするとともに細霧冷房による発蕾・開花促進効果を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 恒温条件では、7月中旬〜8月中旬に摂氏25度で発蕾が早くなる(表1)。

  2. 摂氏25度以上の変温条件では、最高温度が低いほど発蕾時期が早く、発蕾枝率も高くなる(表2)。夏季における発蕾誘導温度としては摂氏25度が良い。

  3. ビワ「長崎早生」では、4月10日から6月10日に土壌をpF2.9程度に乾燥させ、7月中旬〜8月中旬に細霧冷房で温度低下することによって、8月中に80%以上の枝で発蕾し、開花期が早くなる(表3表4)。

  4. 細霧冷房により葉温は摂氏7〜10度低下する(図1

[成果の活用面・留意点]
  1. ハウス栽培ビワの早期出荷作型に活用できる。

  2. 細霧は樹体に散布できるように細霧ノズルを設置する。

  3. 細霧による高温抑制効果を高めるため、30〜50%の遮光資材を天井部に被覆する。

  4. 高温期に結果させるためには,前年に採取し摂氏-20度で冷凍保存した花粉を用い,人工受粉を行う。

[具体的データ]

表1 恒温条件の温度が発蕾時期に及ぼす影響(2001年、発蕾枝率・累積%)


表2 変温条件の温度が発蕾時期に及ぼす影響(2002年、発蕾枝率・累積%)


表3 細霧冷房と土壌乾燥が発蕾時期に及ぼす影響(2002年、発蕾枝率・累積%)


表4 細霧冷房が開花時期に及ぼす影響(2002年、開花枝率・累積%)


図1 細霧冷房が葉温に及ぼす影響(2004年8月8日)

[その他]
研究課題名:ビワの超早期出荷作型の開発
予算区分 :超省力園芸
研究期間 :2001〜2004年度


目次へ戻る