ポンカン「薩州」の高品質果実生産のための土壌水分管理法
- [要約]
- ポンカン「薩州」では、透湿性シートを5月に被覆し、土壌水分は9月中旬から収穫期をpF2.5〜2.7で管理することで品質が向上する。
- [キーワード]
- ポンカン、薩州、透湿性シート、土壌水分管理
- [担当]
- 鹿児島果樹試・栽培研究室
[連絡先]電話0994-32-0179
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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消費者の高品質志向が高まる中、ポンカンについてもさらなる品質向上が求められている。そこで、鹿児島県で育成したポンカン「薩州」について、高品質果実生産のための土壌水分管理法を検討した。
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[成果の内容・特徴]
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土壌水分は5〜7月をpF2.3、8〜9月上旬をpF2.3〜2.5、9月中旬〜収穫期をpF2.5〜2.7で管理する(図1)。
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9月中旬以降にpF2.5〜2.7の土壌乾燥で、糖度は12月中旬が13、貯蔵後の2月上旬が14となり、無処理より糖度が1〜2高く、クエン酸は12月中旬が0.9〜1.0%、2月上旬が0.8〜0.9%となり、無処理より0.1〜0.2%高くなる(表3)。
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透湿性シートの被覆で、果皮色の赤みがやや濃くなり、す上がりが少ない(表3)。
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pF2.9区はpF2.7区に比べて階級割合の小玉果比率が高くなる(表4)。
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[成果の活用面・留意点]
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露地栽培におけるポンカンの品質向上に活用する。
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土壌水分の管理ができるように透湿性マルチシート下にはかん水チューブを設置する。
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5月中旬から7月までpF2.3、8月から9月上旬まではpF2.5、9月以降pF2.7を各々越えた場合には3〜5mm程度をかん水する。
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クエン酸含量が高くなるので、8月はpF2.5を越えないようにする。
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収穫後は、透湿性シートを除去し、十分にかん水して樹勢の回復を図る。
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[具体的データ]
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表1 栽培経過

表2 土壌水分管理の目安(2003)

図1 土壌pF値の変化(2003)

表3 土壌の乾燥程度が果実品質に及ぼす影響(2003)

表4 収穫時の収量及び階級割合(2003)
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[その他]
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研究課題名:高品質ポンカンの連続出荷体系技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2004年度
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