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「肥のあけぼの」のシートマルチ栽培における高品質果実安定生産のための施肥法


[要約]
10月下旬の施肥割合を年間窒素投入量の60%にした秋肥重点施用が、果実の糖度、果皮の着色において優れ、収量の年次変動が小さい。

[キーワード]
ウンシュウミカン、シートマルチ栽培、施肥時期

[担当]
熊本農研セ果樹研・病虫化学研究室

[連絡先]電話0964-32-1723	
[区分]九州沖縄農業・果樹、生産環境(土壌肥料)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
ウンシュウミカンでは、品質向上を目的に土壌水分を制御するシート(多孔質フィルム)マルチ栽培が広く行われているが、シートマルチ栽培により樹勢が低下し、翌年の着果が不安定になるという問題がある。早生ウンシュウ「肥のあけぼの」のシートマルチ栽培における高品質、連年結果のための施肥時期、施肥量を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 4ヶ年の累計収量は、マルチ無被覆標準区(累計収量指数107)、標準区(100)、秋肥重点施用区(97)、夏肥施用区(92)の順であり、秋肥重点施用区では、収量の年次変動が小さい(図1)。

  2. 果実品質において、果実の糖度および果皮の着色は秋肥重点施用区が優れる傾向にある(図2図3表3)。果実のクエン酸含量は、秋肥重点区がやや高く、無被覆標準区が低い(表2)。

  3. 果実の1果重は、秋肥重点区の平均の階級がM、Lと適度の大きさで、果実の1果重の年次変動が小さく、無被覆標準区の平均の階級が2Lとやや大きすぎる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 早生ウンシュウ「肥のあけぼの」の露地のシートマルチ栽培に適用する。

  2. シートマルチ栽培では、マルチ無被覆栽培に比べて果実のクエン酸含量がやや高めになりやすいので、8月または9月前半に5mm程度の降雨を入れるか、かん水を行う。

[具体的データ]

表1 試験区の構成と施肥の内容


図1 施肥方法と収量の関係


図2 施肥の方法と糖度の関係


図3 施肥方法と果皮の着色の関係


表2 果実品質と1果重

[その他]
研究課題名:極早生温州のマルチ栽培による高品質安定生産のための栄養管理技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2004年度


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