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パッションフルーツの養液土耕栽培技術


[要約]
隔離ベッド方式の養液土耕でパッションフルーツの栽培が可能で夏実、冬実とも収穫でき、土壌病害の発生もみられない。

[キーワード]
パッションフルーツ、養液土耕栽培、土壌病害

[担当]
鹿児島果試・化学研究室

[連絡先]電話0994-32-0179	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
パッションフルーツは、植え付けの翌年には収穫でき、未収益期間が他の果樹に比べて短いことや、商品性が高いことなどから、近年、注目されてきている亜熱帯果樹の一つである。しかし、土壌病害の発生により、植栽から1〜2年で植え替えを余儀なくされる場合もあり、長期に連年栽培できる栽培法が望まれている。隔離ベッド方式の養液土耕栽培技術は、滅菌した培土を選択でき、合理的な施肥コントロールが可能なため低投入量で環境への負荷が少なく、土壌病害回避と増収が期待できる。そこで、パッションフルーツの養液土耕栽培を検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. パッションフルーツの養液土耕栽培では夏実、冬実の収穫ができ、果実の品質は土耕栽培と同等である。(表2)。

  2. 栽培ベッドは125lの発泡スチロール製(鮮魚保冷)ボックス(125リットル容量)に赤玉土、ピートモス、モミガラ燻炭を容量比で2:1:1の培土を充填する。

  3. 培土は植栽前にpHを6.0に苦土石灰で調整し、基肥として緩効性肥料と微量要素肥料を施用する。

  4. 培養液の原液は施設果菜類の養液栽培で用いられるもので対応でき、夏季のECは0.5、冬季は夏季よりやや低めの0.3とする。培養液は1日当たり3回、夏季は約8l程度かん水する(表1)。

  5. 植え付け1年後の株元も健全であり、土壌病害にり病しない。

[成果の活用面・留意点]
  1. 施設で栽培される土耕のパッションフルーツに活用可能である。

  2. 秋冬季の温度管理は夜温摂氏15度、昼温摂氏30度とする。

[具体的データ]
養液土耕栽培の概要

試験場所:鹿児島果樹試内18号園施設、供試品種:サマークイーン

植栽期日:2003年11月25日、秋冬季の温度管理:夜温摂氏15度,昼温摂氏30度

植栽密度:株間6.0m×畝間1.5m10a当たり111本植え

培土の組成:赤玉土:ピートモス:モミガラくん炭(2:1:1)

培土量:125l/ベッド、施肥量/ベッド:ロング100日タイプ(14-12-14)500g

苦土石灰60g、FTE5g

夏実:開花期間3月29日〜5月23日、収穫期間:5月31日〜7月15日

冬実:開花期間10月1日〜10月31日、収穫期間:1月10日〜3月15日

人工受粉:夏実:3月29日〜5月23日、冬実:10月1日〜10月31日


表1 培養液の組成とかん水


表2 収量及び果実品質


写真1 年後の株元の様子


図1 ハウス内の配置

[その他]
研究課題名:養液・電照栽培によるパッションフルーツの省力・周年・多収技術
予算区分 :高度化事業
研究期間 :2003〜2005年度


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