［要約］: 遮光資材の通気性は、空隙率が大きいほど優れる。アルミ蒸着資材は空隙率が高く、太陽光反射率が高いために施設内に熱気が滞留せず、昇温抑制効果が高い。夏どりホウレンソウ栽培では、オープンハウス内にアルミ蒸着資材を展張すると、光合成速度が増加し、生育が優れる。
［キーワード］: 遮光資材、オープンハウス、空隙率、太陽光反射率、夏どりホウレンソウ
［担当］: 福岡農総試・野菜栽培部・野菜栽培チーム


［連絡先］電話092-922-4364	
［区分］九州沖縄農業・野菜花き	
［分類］技術・普及

［背景・ねらい］: 夏季の野菜生産を安定させるには高温抑制が重要であり、本県では夏季の強日射時に遮光資材をハウス内の上層部に展張するフルオープンハウス（屋根開放型施設）を開発した（平成11年度成果情報）。本施設では遮光資材が肩部から天井にかけて広い面積に展張されるため、資材の通気性などがハウス内気象に大きな影響を及ぼすと考えられる。一方、遮光資材は多くの種類が販売されているが、主な選定基準は遮光率であり、資材が施設内の通気や温度環境に及ぼす影響については不明な点が多い。; そこで、遮光資材がハウス内環境及びホウレンソウの生育に及ぼす影響を検討し、遮光資材の昇温抑制指標と夏季のホウレンソウ栽培に適した遮光資材を選定する。

［成果の内容・特徴］

遮光資材では、空隙率（資材のすきま度合い）と通気性（風下風速/風上風速比）の関係が深く、空隙率が大きいほど通気性が優れる（表1、図1）。
太陽光の反射率は、素材にアルミが蒸着している資材が最も高い。一方、素材が黒色の資材2種は顕著に低く、日射量が大きくなるにつれて資材が高温となり、ハウス内気温はアルミ蒸着資材より高くなる（図2、図3、一部データ略）。
夏季のホウレンソウ栽培では、オープンハウス内にアルミ蒸着資材を展張すると他の資材に比べて施設上層部の熱気の滞留がなく、施設内の気温、地温が低いため、根部活性が高く、光合成速度が増加して生育が優れる（表2、図3、一部データ略）

［成果の活用面・留意点］

［具体的データ］

表1　供試した主な遮光資材の表面色、編み方、空隙率、風下風速/風上風速比、遮光率

図1　遮光資材の空隙率と風下風速/風上風速比

図2　主な遮光資材の太陽光の反射率

図3　遮光資材展張施設の高さ別気温（気温）

表2　遮光資材を展張した施設における夏どりホウレンソウの生育と生理反応（平成16年）

［その他］

研究課題名：太陽光発電利用による低コスト型施設内複合環境制御システムの開発
低コスト・低消費型環境制御システムの開発
予算区分　：国庫受託（高度化事業）
研究期間　：2001～2003年度