Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成16年度目次

アスパラガスハウス内の夏季昇温抑制と防虫ネットによるヤガ類の防除


[要約]
アスパラガスの半促成長期どり栽培の盛夏期におけるサイドの開口部拡大や屋根開口による昇温抑制技術と4mm目合い防虫ネットによるヤガ類の物理的防除技術を一体的に講じることにより、省力的な減農薬栽培が可能である。

[キーワード]
アスパラガス、半促成長期どり栽培、昇温抑制、物理的防除

[担当]
長崎県総合農林試験場・野菜花き部・野菜科

[連絡先]電話0957-26-3330	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
アスパラガスの半促成長期どり栽培では、夏季の高温は若茎の開き、曲がり、弾け、脱水による減収や品質低下に留まらず、親茎の葉焼け、生長点枯死、薬害、斑点病などの発生、さらには作業環境の悪化等を引き起こす。このため盛夏期における換気等の昇温抑制対策が不可欠である。また長期どり栽培の普及によりヤガ類による被害が問題となっている。さらに食品の安全性が求められるため、省力的な減農薬栽培技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. ハウス側面開口部を170cm(通常120cm以下)まで開けることによりハウス内の最高気温が摂氏2〜4度下がる(表1)。

  2. ハウスの屋根を開口することにより、ハウス内の最高温度が摂氏4〜5度下がる(表2)。

  3. ヤガ類は主に梅雨、台風、秋雨時に飛来し、総成虫誘殺数は12,600匹に達した。ハウス開口部(屋根、側面、妻面)に4mm目合い防虫ネットを被覆すると、ハウス内への侵入が阻止され、被覆前の産卵幼虫の影響がみられた後は、食害は減少する(図1)。

  4. 4mm目合い防虫ネットを被覆してもハウス内気温の恒常的な上昇はみられない(表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 適用範囲はアスパラガスの半促成長期どり栽培地域。

  2. サイド開口により、防風ネットの設置やサイド2m高をビニペットで固定したり、ハウスバンドの工夫など暴風対策を講じる必要がある。

  3. 裾ビニルを下げると昇温抑制効果が高まる。

[具体的データ]

表1 ハウス開口部拡大による昇温抑制効果(単位

表2 屋根開口による昇温抑制効果(単位

図1 ハウス外におけるハスモンヨトウのフェロモントラップによる誘殺数と被害茎率

表3 4mm目合いネット被覆後の最高温度のハウス内外比較(単位
[その他]
研究課題名:施設野菜の次世代型栽培技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2005年度

目次へ戻る