Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成16年度目次

簡易隔離床による促成トマトの高品質化


[要約]
土に杉バークを3割混合した培地を1株当り20L詰めた簡易隔離床で液肥9g-N/株をかん水施肥すると、秀品率が大幅に向上し、糖度も栽培期間を通してほぼ6%を確保できる。品種は「桃太郎J」が優れ、セル成型苗の直接定植も可能である。

[キーワード]
簡易隔離床、杉バーク、トマト、かん水施肥、糖度

[担当]
大分農技セ・野菜部

[連絡先]電話0978-37-1141	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
県内に豊富にある杉バークを培地とした簡易隔離床を試作し、このシステムで問題となる培地の保水性の向上を目的に試験を重ねてきた。この中で、点滴チューブの導入、給水マットの培地上面設置、土と杉バークの混合により、少ない培地量での根域のストレス軽減、水利用効率の向上が実現し、図1に示す栽培システムを開発した(平成14、16年成果情報)。今回は、このシステムを利用して、促成トマトの品質を安定させる栽培技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 簡易隔離床は、上面50cm、底面40cm、深さ20cm程度(株間22.5cmで培地量約20L/株)の溝に防根透水シートを敷き、土に杉バークを3割混合したものを培地として詰めて作成する(図1)。

  2. 隔離床では、ほぼ糖度6%を維持でき、果実硬度、秀品率も高い(表1)。

  3. 品種「桃太郎J」は大玉であり、商品果収量が多い(表2)。

  4. 総窒素施用量は9g/株でも11g/株と同等の収量が得られる(表3)。

  5. セル成型苗の直接定植でも草勢は安定し、収量も多い(表4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. かん水開始点をpF2.3程度とした時の成果である。

  2. 防根透水シートの耐久性から、培地は3年程度連用が可能と思われる。

  3. 培地には陽熱消毒が利用できる。

  4. 隔離床のみのコストは、防根透水シート、給水マット、杉バークで約33万円/10a(畦長500m/10a)である。

[具体的データ]

図1 開発した簡易隔離床


表1 隔離床の収量、品質


表2 品種と生育、収量、品質


表3 施肥量と生育、収量、品質


表4 育苗方法と生育、収量、品質

[その他]
研究課題名:杉バーク培地隔離床栽培におけるトマトの省力、安定生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2003年度


目次へ戻る