耐風速50m/sの簡易施工型(AET)ハウス
- [要約]
- ビニールを被覆した状態で耐風速50m/sを有し、換気効率を上げるために屋根面、側面のビニール巻き上げ方式を導入し、尚かつ農家独自での施工が可能な周年利用型園芸施設を開発した。
- [キーワード]
- 耐風速50m/s、ビニール巻き上げ方式、簡易施工型
- [担当]
- 沖縄県農業試験場・経営機械部・農業機械研究室
[連絡先]電話098-884-9904
[区分]九州沖縄農業、野菜花き
[分類]技術・普及
-
[背景・ねらい]
-
台風による園芸施設への被害は深刻な問題である。しかしながら、生産者の経営状況を考慮すると、費用の追加投入を極力抑えた中で、施設強度の向上を図る必要がある。そこで、ビニールを被覆した状態で耐風速50m/sを有し、生産者自身で施工できる園芸施設を作成する。なお、当該施設は周年利用が可能なように、屋根面と側面に張られたビニールの全面巻き上げ機能を有し、昇温対策にも配慮する。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
施設の主骨材にはφ48.6×2.3(外径48.6mm、厚さ2.3mm)の一般構造用鋼管を用いており、棟高2.8m、軒高1.8m、間口6.0m、主骨材を長手方向に2.4m間隔で配置する。補強にはφ48.6×2.3パイプと外径3mmワイヤーを用い、主骨材間にはφ22.0×1.6パイプを60cm間隔で設置する(図1)。なお、基礎の埋設深さは70cm以上とし、通常はコンクリート基礎を使用しない(図2)。
-
施設に強風が吹き付けた場合、妻面方向からの風に対しては妻柱(図3)に、側面からは肩部に最も大きな負荷が生じるが、鋼管によるかんぬき、またはワイヤーによる筋違補強を施すことにより、最大瞬間風速50m/sに相当する荷重に耐えられる(図1)。
-
プラスチック製のロープを用い、45cm目合いで構成されるビニール保護ネット(写真1)は常設型であり、強風時にビニールを展張する場合には強く固定する。固定方法:ハウス側面地際部で等間隔に配置された「ネット固定用ベルト」を強く引張する。次に、妻面側は屋根に固定した平帯を交差させて妻面地際にある固定金具に縛る。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
解析は、構造解析用ソフト「FEMAP7.1」と「NASTRAN」を用いて演算処理した。
-
基礎埋設作業時には填圧を念入りに行い、養生期間は2ヶ月以上とする。
-
強風時には、ビニール保護ネットの固定用ベルト並びに妻面側平帯を強く締め付ける。
-
[具体的データ]
-

図1 AET(耐風性簡易施工型)ハウス概要図

図2 基礎の概要

図3 強度計算結果(妻面側)(設計用風速50m/sで解析)

写真1 ビニール用保護ネット
- [その他]
-
研究課題名:先端技術等地域実用化研究促進事業(農林水産新技術実用化型)
野菜生産費低減に寄与する気象災害に強い低コスト園芸施設の開発
予算区分 :国庫補助
研究期間 :2002〜2003年度
目次へ戻る