ヒペリカムの品種選定と新しい生産体系
- [要約]
- 切り枝用ヒペリカムの有望品種として「エクセレントフレアー」、「ピンキーフレアー」および「ミスティックフレアー」を選定した。また、加温促成と無加温促成及びその二度切り栽培の組合せにより、3月から7月、9月から11月の出荷が可能な新しい生産体系を開発した。
- [キーワード]
- ヒペリカム、切り枝、品種、生産体系
- [担当]
- 福岡農総試・花き部・花き栽培チーム
[連絡先]電話092-922-4958
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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ヒペリカムは、従来にない実付きの切り枝花木として注目され、花束やフラワーアレンジメントの花材として、需要の拡大が期待されている。また、最近では品種数も増加している。しかし、ヒペリカムの切り枝生産は露地季咲き栽培が主体で、出荷時期が6月頃に限られている。生産振興のためには、長期出荷できる生産体系の確立が必要である。
そこで、本県に適した有望品種を選定すると共に、生態を解析し、施設栽培による作期拡大を図り、新しい生産体系を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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「エクセレントフレアー」(果実色:茶色)と「ピンキーフレアー」(赤色)は、着果数が多く、切り枝としてのボリュームに優れる。また、果実が桃色で新規性のある「ミスティックフレアー」も有望である(表1)。
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「エクセレントフレアー」では加温促成と無加温促成及びその二度切り栽培の組合せにより、3月から7月、9月から11月の出荷が可能である(図1)。
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「エクセレントフレアー」の無加温促成後の二度切り栽培では、切り下株から新梢をそのまま仕立てることで9〜10月出荷が、また、8月上旬に新梢を切り戻しすることにより、11月に出荷できる(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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水分不足により株枯れが発生するので、潅水設備を整備する必要がある。
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ヒペリカムはサビ病が発生しやすいため、新梢発生前からの定期防除に努める。
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9月出し以降の二度切り栽培では茎が曲りやすいため、ネットの適切な配置につとめ、整枝を行う。
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[具体的データ]
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表1 ヒペリカムの無加温栽培における品種比較(平成14年)

図1 ヒペリカムの新しい生産体系

表2 秋出し二度切り栽培における台切りの有無の影響(平成15年)
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[その他]
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研究課題名:ヒペリカムの品種選定と作期拡大
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2003年度
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