Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成16年度目次

早熟栽培におけるパプリカの接ぎ木栽培の適応性と台木の選定


[要約]
パプリカの早熟栽培において「フィエスタ」の台木としては「スケットC」、「伏見甘長」および「スケットK」がよい。「スペシャル」の台木は「伏見甘長」がよい。

[キーワード]
パプリカ、早熟栽培、台木、「フィエスタ」、「スケットC」、「伏見甘長」、「スケットK」、「スペシャル」

[担当]
福岡農総試・野菜栽培部・野菜栽培チーム

[連絡先]電話092-922-4364	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
最近、食の多様化に伴いサラダ食材等の彩り野菜として赤色や黄色系パプリカの需要が増加しているが、これらは主にオランダや韓国で促成作型の養液栽培において生産されている。パプリカを収益性の高い水田転換作物として本県の平坦地水田に導入するためには、土耕による低コストな早熟栽培技術の確立が求められており、早熟栽培に適した品種「フィエスタ」(黄色)、「スペシャル」(赤色)を選定した。

しかし、土耕による早熟栽培では、青枯れ病や立枯れ性疫病などの土壌病害が問題となるので、これらに耐病性を持つトウガラシ属の台木の中から、パプリカの早熟栽培で収量や品質の優れる台木を選定する。

[成果の内容・特徴]
  1. 「フィエスタ」の台木に「スケットC」、「スケットK」および「伏見甘長」を用いると、自根に比べて収穫果数が増加し、商品果重、A品重が重くなる。(表1図1)。

  2. 「フィエスタ」の台木に「スケットK」を用いると、「スケットC」、「伏見甘長」に比べて凹凸果やひび果の発生が多く、A品率が低下するが、商品果重は重い(表1図1)。

  3. 「スペシャル」の台木に「伏見甘長」を用いると、自根に比べて1果重が増加するが、商品果重、A品重は同等である。「スケットK」では商品果重が5%、「スケットC」では15%程度減少する(表1図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 青枯れ病や疫病が多発している圃場では耐病性台木だけでは発生を抑えられない場合があるので土壌消毒を併用する。

  2. 土壌水分は乾燥しすぎると尻腐れの発生が多くなり、夏季に過湿になりすぎると青枯れ病、立枯れ性疫病の発生を助長するのでpF2.0〜1.8で推移するようにかん水管理に気を付ける。

  3. 夏季の高温は着果不良を引き起こすとともに地温を上昇させ土壌病害が発生しやすくなるので、フルオープンハウスを利用したり遮熱資材を被覆してハウス内の昇温抑制に努める。

[具体的データ]

表1 台木の種類と収量


図1 台木の種類と月別商品果重(穂木:フィエスタ)


図2 台木の種類と月別商品果重(穂木:スペシャル)

[その他]
研究課題名:早熟栽培におけるパプリカの高品質安定生産技術の確立
予算区分 :助成試験(新技術実用化)
研究期間 :2001〜2003年度


目次へ戻る