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電照抑制栽培に適する西南暖地向き夏秋ギク型スプレーギク5品種


[要約]
電照抑制栽培による8、9月開花作型に適した夏秋スプレーギク5品種を育成した。いずれの品種も高温・長日開花性に優れている。

[キーワード]
キク、育種、夏秋スプレーギク新品種、高温開花性、長日開花性

[担当]
鹿児島農試・花き部、鹿児島バイテク研

[連絡先]電話0993-35-0210	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
スプレーギクは全国的に栽培が行われており、鹿児島県においても周年生産化が普及しつつある。夏秋スプレーギクは、周年生産を行う上で、夏季の高温・長日期間の栽培に不可欠の品種群であるが、本県のような暖地に適した品種がほとんどなく、産地から優れた品種の育成が切望されていた。そこで、夏季の安定生産を図るために、高温・長日開花性に優れる西南暖地に適した夏秋スプレーギクの品種育成を行った。

[成果の内容・特徴]
平成12年に鹿児島県バイテク研において交配し採種、平成13年には種及び個体選抜を行い、平成14年に系統選抜を実施。平成15年に鹿児島県農業試験場花き部の露地ほ場にて季咲き、施設において8月開花、9月開花の試験を行った結果、高温開花性および長日開花性に優れ、電照抑制栽培が可能な5系統を選抜し、品種登録出願を行った。5品種の特性は以下のとおりである(表1表2表3)。

「サザンチェリー」

花色は季咲きでは鮮紅、8月開花では桃。抱え咲き。葉は小葉で光沢がある。草丈は並でやや茎が細い。マメハモグリバエの被害は他の品種より少ない。山川町での季咲きは5月中旬。

「サザンオレンジ」

花色は季咲きでは橙赤色、8月開花では橙色。葉はやや大きく、光沢がある。草丈はやや低く茎は硬い。マメハモグリバエの被害は他の品種より少ない。生育の揃いが良い。山川町での季咲きは6月上旬。

「サザンピーチ」

花色は季咲きでは薄桃、8月開花では極薄桃。やや2次花数が多い。5品種の中で比較的到花日数が長い。山川町での季咲きは6月上旬。

「サザンレモン」

花色は季咲きでは橙赤色、8月開花では黄色。季咲きではアントシアンが発現する。葉は光沢がある。山川町での季咲きは6月上旬。

「サザンパッション」

花色は季咲き〜8月開花で赤紫色で緑心。高温期でも花色があせない。山川町での季咲きは6月上旬。5品種の中で比較的伸長性に優れるが、到花日数が長い。葉色はやや淡い。

[成果の活用面・留意点]
  1. 電照抑制栽培により計画生産や作期拡大を行うには、栽培地での自然開花時期、伸長性、到花日数等を十分把握し、作型や定植時期を決定する。

[具体的データ]

表1 季咲き作型(露地栽培)での開花特性


表2 8月開花作型(鉄骨ハウスPO系フィルム被覆)での開花特性


表3 9月開花作型(鉄骨ハウスPO系フィルム被覆)での開花特性


図1 フォーメーション

[その他]
研究課題名:夏秋スプレーギクの新品種育成試験
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2003年


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