Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成16年度目次

ヒラナス小胞子からの半数体再生法


[要約]
ヒラナスの花蕾からパーコール密度勾配遠心で40〜70%分画の小胞子を単離し、滅菌水中で摂氏35度、4日間静置し、ナフタレン酢酸(NAA)0.5mg/l、ベンジルアデニン(BA)0.5mg/l添加の1/2NN液体培地でカルス形成させた後、ゼアチン(Ze)4mg/l、インドール酢酸(IAA)0.2mg/l添加のMS寒天培地で培養すると、約60日後に半数体が得られる。

[キーワード]
ヒラナス、小胞子、半数体

[担当]
福岡農総試・バイオテクノロジー部・細胞育種チーム

[連絡先]電話092-924-2970	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
福岡県のナス栽培では、青枯病の感染や低温時の果実肥大不足が問題になっているため、耐病性や果実の低温肥大性に優れる台木品種が求められている。また、自殖により形質を固定するには長期間要することから、育種迅速化に有効であるナス台木の小胞子由来半数体再生技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. ヒラナスの小胞子培養には、4〜7mmの大きさの花蕾より単離した小胞子が適する(図2)。また、カルス形成能力が高い小胞子は、パーコール密度勾配遠心の40〜70%分画で得られる(データ略)。

  2. ヒラナスの小胞子培養に適する基本培地は、多量要素を1/2量としたNitsch&Nitsch培地である。また、培地をオートクレーブ滅菌するとカルスは形成されないため、ろ過滅菌が必要である(データ略)。

  3. カルス形成には、滅菌水中での小胞子の糖飢餓+高温(摂氏35度)処理が有効であり、処理日数は4日程度が適している(図3)。

  4. 小胞子の単離から約60日前後で、半数体を含む小胞子由来の植物体が得られる(図1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. ナス台木の半数体育種法による育種年限の短縮に活用する。

  2. ナス台木の小胞子へのイオンビーム照射による変異誘発に活用する。

  3. 再生植物体の青枯病抵抗性を評価して、優良系統を選抜する。

  4. 再生植物の倍数性はフローサイトメーターにより調査した。再生植物には半数体の他に、2倍体、3倍体、4倍体も含まれる。

[具体的データ]

図1 ヒラナスの小胞子からの植物体の再生法


図2 花蕾の大きさによるカルス形成数の違い


図3 小胞子の前処理日数がカルス形成に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:花粉培養技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2003年度


目次へ戻る