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パプリカの個葉の光合成特性


[要約]
パプリカの個葉の光合成速度は光量子束密度(光強度)に比例して速くなり、上位葉で1000μmol/m2/s以上、中位葉で600〜800μmol/m2/s、下位葉は200〜300μmol/m2/sで飽和する。適温域は摂氏25度までであり、高温では低下する。CO2の施用効果は高く、1900μmol/m2/sまでは濃度に比例して光合成速度は速くなる。
[キーワード]
パプリカ、光合成速度、光量子密度、温度、CO2濃度
[担当]
佐賀農業セ・三瀬分場・山間畑作研究室

[連絡先]電話0952-56-2040	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
パプリカの我が国への導入は比較的新しいことから、生理生態特性については不明な点が多い。そこで、適正な栽培技術確立の一助として個葉の光合成特性について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 個葉の光合成速度は光量子束密度(光強度)に比例して速くなり、上位葉は1000μmol/m2/s以上、中位葉は600〜800μmol/m2/s、下位葉は200〜300μmol/m2/sで飽和する(図1図2)。

  2. 光量子束密度-光合成曲線は品種間に差が認められる(図1)。

  3. 葉位間では上位葉ほど光合成能は高い(図1図2)。

  4. 強遮光下で栽培した個葉の光合成速度は自然光下で栽培した個葉の光合成速度に比べて遅い(図2)。

  5. 摂氏15〜25度の温度域での光合成速度は20μmol/m2/sと比較的安定しているが、摂氏25度以上の高温域では徐々に低下する(図3)。

  6. CO2濃度に比例して光合成速度は速くなり、CO2濃度が1000μmol/molでは通常(370μmol/mol)時の2倍以上の速度となる(図4)。

  7. 個体の最上位葉の相対照度を100とした場合の葉位別相対照度は中位葉で約25%、下位葉で約5%であるが、下位葉でも光量子束密度を高めるとその分光合成速度は速くなる(図5)。

[成果の活用面・留意点]
  1. パプリカにおける温度・光管理、栽植密度および仕立て法等の参考になる。

[具体的データ]

図1 各葉位における光量子束密度-光合成曲線(6月)


図2 ゴールドキングにおける対照区および遮光区の光量子束密度-光合成曲線(6月)

図3 ゴールドキングにおける温度-光合成曲線(10月)


図4 ゴールドキングにおけるCO2-光合成曲線(10月)


図5 ゴールドキングにおける葉位別相対照度および光合成速度(10月)

[その他]
研究課題名:中山間地水田の高度利用による新規軽量野菜等の高収益安定生産技術
予算区分 :助成試験(新技術実用化型)
研究期間 :2001〜2003年度


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