Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成16年度目次

茶樹更新後の防虫ネット直がけによる害虫被害軽減


[要約]
一番茶後に中切りや二番茶後に浅刈り更新する茶樹に1mm目合いの透明な防虫ネットを直がけすることで、チャノミドリヒメヨコバイ、チャノキイロアザミウマ、チャノホソガ、ツマグロアオカスミカメの被害を軽減できる。

[キーワード]
チャ、防虫ネット、防除、チャノミドリヒメヨコバイ、チャノキイロアザミウマ、チャノホソガ、ツマグロアオカスミカメ

[担当]
福岡農総試・八女分場・茶チーム

[連絡先]電話0943-42-0292	
[区分]九州沖縄農業・茶業	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
チャの有機栽培や減農薬栽培では、更新後の萌芽から4葉開葉期にチャノミドリヒメヨコバイ、チャノキイロアザミウマ、チャノホソガ等の加害により次年度の収穫が皆無になるほどの被害を受けることがある。そこで、防虫ネットの直がけによる害虫被害軽減効果について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
(一番茶摘採後に中切り更新する茶園)

  1. 中切り後に1mm目合いの透明な防虫ネットを直がけすることにより、チャノミドリヒメヨコバイ、チャノホソガおよびツマグロアオカスミカメによる被害が軽減され、慣行防除や有機栽培と同等かそれ以上の被害防止効果が認められる。また、チャノキイロアザミウマに対する被害防止効果は、慣行防除とほぼ同等か無処理や有機栽培よりもやや優る傾向を示す(図1図2)。

  2. 防虫ネットの直がけにより夏整枝時までの新芽生育は優れ、整枝量は多くなる。また、中切り後の直がけ開始時期は、中切り直後からした方が萌芽期からするよりチャノミドリヒメヨコバイの被害は小さい傾向である(表1)。

    (二番茶摘採後に浅刈り更新する茶園)

  3. 浅刈り後に1mm目合いの透明な防虫ネットを直がけすることにより、チャノミドリヒメヨコバイ、チャノキイロアザミウマおよびチャノホソガによる被害は軽減され、慣行防除や有機栽培と同等の効果がある(表2図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 有機JAS認証栽培に対応する化学農薬代替技術として活用できる。

  2. 二番茶摘採後の防虫ネットの直がけは、深刈り更新にも活用できる。また、この時期の直がけは、新芽に高温障害が発生する恐れがあるため、早め(6月中)に開始する。

  3. チャノコカクモンハマキやヨモギエダシャクに対しては防除効果がないため、発生を見たら、防虫ネットを一旦除去して、BT剤等で防除する。

  4. 防虫ネットの除去は、整剪枝後残った茶葉(下位2葉)が硬化したのちに行う。なお、中切り更新した茶園では、夏期の刈りならしまで被覆する。

  5. 防虫ネット費は、10a当たり15万円前後であり、5年程度利用できる。また、防虫ネットの被覆や除去に要する手間や時間は、かぶせ茶のそれと同程度である。

[具体的データ]

図1 中切り後の防除法の違いによる害虫被害芽率(2003年)


表1 中切り後の防虫ネット直がけによる夏整枝時の整枝量およびチャノミドリヒメヨコバイ被害状況(2002年)


表2 浅刈り後の防虫ネット直がけによる害虫被害軽減効果(2003年)


図2 直がけ方法

[その他]
研究課題名:茶の有機栽培における病害虫防除技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2003年度


目次へ戻る