かまいり製玉緑茶の炒り葉機の加圧型重油バーナーによる温度制御
- [要約]
- かまいり製玉緑茶の炒り葉工程に放射温度計と温度指示調整器を設置し、加圧型重油バーナーの燃焼を自動制御することで、第1円筒部の温度を設定温度から設定温度の摂氏-10度までの範囲内で安定的に自動制御することができる。
- [キーワード]
- チャ、炒り葉、加圧型重油バーナー、自動制御
- [担当]
- 熊本農研セ・茶業研究所
[連絡先]電話096-282-6851
[区分]九州沖縄農業・茶業
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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現地のかまいり茶工場では炒り葉機の熱源としてT型重油バーナーを使用しているが、炒り葉機の温度を計測・制御するシステムを装備していないため農家は温度制御を経験と勘に頼っており、炒り葉機を並列して生葉処理量の向上を図ることは難しい状況にある。また、失火時安全装置がなく失火すると重油が噴出状態となり、危険であるとともに製茶品質への影響も大きい。そこで、T型重油バーナーと燃焼原理は同じであるが電気点火装置、失火時安全装置を装備した加圧型重油バーナーを放射温度計と温度指示調整器により燃焼制御する炒り葉機の温度自動制御システムを確立する。
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[成果の内容・特徴]
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温度自動制御システムで加圧型重油バーナーの燃焼を制御すると、第一円筒の温度推移は点火後16分で設定温度に達し、生葉投入開始10分後に炒り葉時の温度に設定した後は、設定温度から設定温度の摂氏-10度までの範囲内でほぼ安定する(表1、図2)。
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空焚き時の第一火口及び第二火口の温度設定は生葉投入時の温度低下を考慮して、炒り葉時設定温度より第一火口で摂氏40度、第二火口で摂氏30度程度高く設定し、生葉投入開始から10分後に炒り葉時設定温度に設定変更する(表1)。
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生葉1kgあたりの燃料消費量は0.077リットル、燃料費は3.6円となりT型重油バーナーと同程度である(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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温度自動制御システムは第一円筒部温度を垂直方向から放射温度計で測定し、温度指示調整器により加圧型重油バーナーを設定温度で消火、設定温度より摂氏-5度で点火を繰り返すシステムとする。
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使用した加圧型重油バーナーはON・OFF制御方式で重油流量制御方式ではないため、設定温度に対して十分な熱量を供給できる重油流量、空気量を調整する必要がある。
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2円筒1固定釜式の連続炒り葉機での試験データではあるが、1円筒2固定釜式の連続炒り葉機にも応用できる。
- 設置コストは加圧型バーナーが1基15万円、バーナー3基を制御させるシステムが35万円である。
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加圧式ブロアー及び配管は現在使用しているものを使用できる。
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バーナーノズル径は第一及び第二火口は1.0ミリ、第三火口は0.8ミリとする。
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[具体的データ]
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図1 バーナー設置状況及び温度指示調整器

図2 第一円筒温度推移

表1 空焚き時と炒り葉時の設定温度及び空焚き時の設定温度に達する時間

表2 生葉1sあたりの燃料消費量及び燃料費
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[その他]
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研究課題名:高商品性かまいり製玉緑茶の製造法
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2004年度
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