チャノナガサビダニによる一番茶葉の被害と二番茶芽生育への影響
- [要約]
- 一番茶葉に対するチャノナガサビダニの加害は、茶葉の光合成を阻害し、二番茶芽の生育を強く抑制する。
- [キーワード]
- チャ、チャノナガサビダニ、光合成、生育抑制
- [担当]
- 宮崎総農試・茶業支場・育種科
[連絡先]電話0983-27-0355
[区分]九州沖縄農業・茶業
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
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チャノナガサビダニは、近年、各茶産地で発生が増加傾向にあり、被害解析に基づいた防除技術が求められている。そこで、チャノナガサビダニが最も高密度となる春季の一番茶芽に対する加害が光合成速度および二番茶芽の生育に与える影響を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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チャノナガサビダニの発生は、一番茶摘採後に最も高密度になり、摘採残葉にはカスリ様の症状が観察されるようになる(図1)。
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チャノナガサビダニに加害された茶葉は、軽微な加害では葉裏が淡褐色でカスリ模様の症状を呈し(被害度1)、加害が激しくなるにつれて褐色部分が葉裏全体に広がり葉縁が波打つ(被害度2)。さらに被害が進むと、葉裏全体が暗褐色となり(被害度3)、葉裏の一部がコルク化し(被害度4)、落葉する(図2)。
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チャノナガサビダニに加害された一番茶葉のみかけの光合成速度は、被害度が大きくなるにしたがって低下し、被害度1では健全葉の58%に、被害度2では33%に、被害度3以上では光合成速度が呼吸量を下回りマイナスの値になる(図3)。
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チャノナガサビダニに一番茶摘採残葉を加害されると、光合成が阻害されることにより、二番茶芽の生育は著しく抑制される(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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チャノナガサビダニの多発生が想定される場合には、春季のカンザワハダニ防除時にチャノナガサビダニにも効果のある薬剤で同時防除する。
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[具体的データ]
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図1 チャノナガサビダニによる一番茶摘採残葉の被害状況

図2 チャノナガサビダニによる一番茶葉の被害度

図3 一番茶葉のチャノナガサビダニによる被害度別の光合成速度

表1 一番茶葉へのチャノナガサビダニの加害が二番茶芽の生育に与える影響
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[その他]
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研究課題名:育種法改善のための基礎試験
予算区分 :指定試験
研究期間 :2003〜2004年度
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