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シルバーテープによるジャガイモのPotato virus Y(PVY)感染抑制効果


[要約]
シルバーテープをジャガイモ栽培期間中にその茎葉上に展張することにより、アブラムシの飛来を抑制し、塊茎のPVY感染率を低下させることができる。

[キーワード]
ジャガイモ、アルミ蒸着テープ、シルバーテープ、アブラムシ、PVY、塊茎感染率

[担当]
長崎総農林試・愛野馬鈴薯支場・環境科

[連絡先]電話0957-36-0043	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
近年、長崎県の青果用ジャガイモで発生が確認されている「塊茎えそ病」は、Potato virus YNTNによって発病し、本病が蔓延した場合には我が国のジャガイモ生産にとって大きな脅威となることが強く懸念される。そのため、本ウイルスを含めたPotato virus Y(PVY)を媒介するアブラムシ類の防除が重要である。しかし、本ウイルスの防除には殺虫剤の効果は低いとされており、他の手段による防除法が必要である。本研究においては、アブラムシ類の飛来抑制効果があると言われている反射資材による防除効果の検討を行った。反射資材のうち、マルチ状の資材に比べて地温を低下させないことや茎葉の繁茂による影響が少ないことから、テープ状の資材を選択し試験を行った。このアブラムシ類に対するテープ状の反射資材を使用した試験例はマルチ資材に比べて少なく、特にジャガイモのウイルス病に対して効果を明らかにした試験例はほとんど知られていない。

[成果の内容・特徴]
  1. シルバーテープ(アルミ蒸着テープ、幅5cm)をジャガイモ栽培期間中に、その茎葉上の高さ約80cmに図1のように展張することによりアブラムシの飛来が抑制される(図2)。支柱は畦上に立て、テープは支柱から支柱へ真っ直ぐと、隣の支柱へ斜めに展張する。テープは、圃場全体に設置した。

  2. シルバーテープをジャガイモの出芽後から収穫前日まで展張し、殺虫剤を散布した圃場から収穫された塊茎は、殺虫剤散布のみの圃場から収穫された塊茎よりもPVY感染率が低い(図3)。本試験では、殺虫剤は4回散布した。

  3. シルバーテープと防虫ネット(白色、目合い1mm、高さ130cm、圃場周囲に設置)を併用しても、シルバーテープ単独とほぼ同程度のPVY感染率(塊茎)である(図3)。ネット単独の効果は認められない。

  4. テープを畦上に1本や畦間に1本など、他の方法で設置した場合には、明瞭な効果は認められていない(図4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. シルバーテープは、アブラムシ類の圃場への侵入を完全に防止するものではない。従って、アブラムシ類の圃場内部での増殖を抑制するために、殺虫剤の散布は必要である。

  2. 本試験では、テープを圃場全体に設置しているため、圃場管理作業に影響がある。現在、圃場の管理作業に与える影響がより少ない設置方法の検討を行っている。

[具体的データ]

図1 シルバーテープの展張方法(上面図)


図2 黄色水盤に捕殺されたアブラムシ数を指標としたシルバーテープの効果(2002年春作)


図3 塊茎の感染率を指標としたシルバーテープのPVY感染抑制効果(2003年春作)


図4 塊茎の感染率を指標としたシルバーテープのPVY感染抑制効果(2003年秋作)

[その他]
研究課題名:耕種的防除技術等を利用した昆虫伝搬性ウイルス制御技術の開発
予算区分 :指定試験
研究期間 :2001〜2005年度


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