Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成16年度目次

ナシ炭疽病(葉炭疽病)に対する有効薬剤と耐雨性


[要約]
ナシ炭疽病に対してジチアノン、アゾキシストロビン、フルアジナム、クレソキシムメチル、キャプタン・ベノミルの5剤が有効である。なお、ジチアノン、アゾキシストロビンの2剤については他の3剤に比べて耐雨性の点で特に優れる。効率的防除のためには、6〜9月に、耐雨性、安全使用基準、経費を考慮した防除が必要である。

[キーワード]
ナシ、炭疽病、殺菌剤、耐雨性

[担当]
佐賀果樹試・病害虫研

[連絡先]電話0952-73-2275	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
ナシ‘豊水’、‘新高’の早期落葉を引き起こすナシ炭疽病(葉炭疽病)に対する効率的な防除法を確立するために、有効薬剤を選抜するとともに、有効薬剤の耐雨性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. ジチアノン(商品名:デランフロアブル)、アゾキシストロビン(商品名:アミスタ-10フロアブル)、フルアジナム(商品名:フロンサイドSC)、クレソキシムメチル(商品名:ストロビードライフロアブル)、キャプタン・ベノミル(商品名:キャプレート水和剤)の5剤は炭疽病(葉炭疽病)に対して有効である(罹病性品種‘豊水’を用いた接種試験で得られた結果であり、実験法の詳細については下記論文を参照)。
  2. 上記5剤のうち、ジチアノン、アゾキシストロビンの2剤が耐雨性に優れる(図1)。これら2剤は3か年を通して行った圃場試験でも良好な結果が得られている(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. ナシ炭疽病の防除時期は黒星病や輪紋病と同時期の6〜9月で、上記の5剤はいずれの薬剤もこれらの病害に既登録である。よって、黒星病や輪紋病の防除の際に、これら薬剤を耐雨性、安全使用基準、経費を考慮しながら用いることで、炭疽病の発生は抑えられ、殺菌剤の使用回数を最小限に抑えることができる(表2)。なお、2004年12月時点で炭疽病に対して適用があるのはジチアノンとクレソキシムメチルの2剤である。

  2. ‘豊水’の収穫直後は低コストで耐雨性が高いジチアノンを使用する。ただし、‘新高’等の晩生品種が植栽されていたり、晩生品種への飛散が懸念される場合はクレソキシムメチル等で対応する(表2)。

[具体的データ]

図1 ナシ炭疽病に対する各種薬剤の耐雨性評価1)


表1 ナシ炭疽病に対する各種殺菌剤の防除効果(圃場試験)1)


表2 ナシ炭疽病防除薬剤の選択基準

[その他]
研究課題名:低毒性農薬の探索に関する試験
予算区分 :委託(九防協)
研究期間 :2000年〜2002年


目次へ戻る