ジャガイモシストセンチュウに対する暖地二期作用抵抗性品種の圃場密度低減効果
- [要約]
- ジャガイモシストセンチュウに対する暖地二期作用抵抗性品種「普賢丸」および「アイユタカ」の作付けは、本種の圃場密度を平均で約70%低減させる。
- [キーワード]
- ジャガイモ、暖地二期作、ジャガイモシストセンチュウ、抵抗性品種、圃場密度
- [担当]
- 長崎農林試・環境部・病害虫科
[連絡先]電話0957-26-3330
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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ジャガイモシストセンチュウの防除は、主に土壌くん蒸剤や殺線虫粒剤等の化学的防除法によっているが、近年、環境に負荷を与えない防除技術の確立が望まれている。中でも、抵抗性品種の利用は、有効な手段の一つであるが、暖地における圃場密度抑制効果は明らかでない。
そこで、近年、長崎県総合農林試験場愛野馬鈴薯支場で育成された暖地二期作用抵抗性品種「普賢丸」および「アイユタカ」の作付けによる、ジャガイモシストセンチュウの圃場卵密度低減効果を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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ジャガイモシストセンチュウに対する抵抗性品種「普賢丸」および「アイユタカ」の1回の作付けで圃場における本種の圃場卵密度は平均で約70%減少する(図1)。
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抵抗性品種「普賢丸」の作付けは、殺線虫粒剤(ホスチアゼート粒剤)処理にやや優る密度低減効果が認められる(図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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抵抗性品種の密度抑制効果は、感受性品種連作区の卵密度が大きな増加をせず、約30卵/生土1gの密度レベルで推移した圃場におけるデータである(図3)。
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現在、国内で発生しているジャガイモシストセンチュウは、抵抗性遺伝子H1を持つ「普賢丸」や「アイユタカ」等には寄生できないレースRo1だけであるので、これらの抵抗性品種は本県内全ての発生地に適用できる。
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[具体的データ]
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表1 抵抗性品種の栽培体系

図1 抵抗性品種1回作付け後の作付け前に対する密度指数(卵数)

図2 抵抗性品種作付け後と薬剤処理後の卵密度推移

図3 感受性品種連作区における卵密度の推移
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[その他]
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課題課題名:ジャガイモシストセンチュウの環境保全型防除技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2003年度
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